社会保険料はいくら引かれる?手取りを増やす方法も解説【2026年版】

給与明細を見るたびに、社会保険料としてどれだけ控除されているのか気になったことはありませんか。
毎月の手取り額は、総支給額から社会保険料や税金が差し引かれて決まりますが、その内訳を正確に把握している人は意外と少ないものです。 2026年度は保険料率が改定され、新たな控除項目も加わりました。
「給与明細に見慣れない項目が増えた」と感じた方もいるかもしれません。 この記事では、給与から引かれている社会保険料の内容、計算方法、そして手取り額を増やすための考え方をわかりやすく説明します。
この記事で分かること
- 社会保険料の種類と2026年度の最新料率
- 給与別の具体的な控除額のシミュレーション
- 給与明細の正しい見方と手取り額を増やす実践的な方法
社会保険料とは何か

日本で給与から差し引かれる社会保険料とは、働く人の生活を支えるための公的な保険制度の費用です。
社会保険料に含まれる種類
社会保険料として給与から差し引かれる保険には、以下の種類があります。
- 健康保険料:病気やケガで医療を受ける際の費用を支える保険
- 介護保険料:40歳以上65歳未満の人が対象
- 子ども・子育て支援金:2026年4月分から新設(少子化対策の財源)
- 厚生年金保険料:老後の生活や障害・遺族の保障を提供する年金制度
- 雇用保険料:失業時などに給付を受けるための保険
これらは、個人のライフステージごとに重要な役割を果たし、生活の質を維持するために欠かせないものです。
社会保険料の目的と給与から引かれる理由
給与から社会保険料が差し引かれる目的は、個人が病気や失業、老後といったリスクに対して公的な支えを得られるようにすることです。
これらの保険制度は、加入者が自力では備えにくいリスクを社会全体で分担する仕組みとなっています。その結果、生活上の不安が軽減され、長期的な生活設計を立てやすくなります。
2026年度の保険料率
2026年度(令和8年度)に適用されている主な保険料率は以下の通りです。制度によって改定時期が異なるため、あわせてご確認ください。
健康保険料
協会けんぽ(東京都)の場合、保険料率は9.85%です(前年度の9.91%から引き下げ)。2026年3月分(4月納付分)から適用されています。この割合は会社と従業員で半分ずつ負担するため、給与から引かれるのは4.925%が目安になります。
介護保険料
40歳以上65歳未満の人のみが対象となります。保険料率は全国一律1.62%に引き上げられ(前年度は1.59%)、2026年3月分(4月納付分)から適用されています。給与から引かれるのは0.81%が目安です。
子ども・子育て支援金(2026年度新設)
2026年4月分(5月納付分)から、少子化対策の財源として新たに徴収が始まりました。保険料率は0.23%で、健康保険料と同様に会社と従業員で折半(それぞれ0.115%)します。税金ではなく、医療保険料と合わせて徴収される仕組みです。
厚生年金保険料
保険料率は全国一律18.3%で、会社と従業員が折半します。そのため、従業員の自己負担分は9.15%です。

※健康保険料率は都道府県や加入している保険組合によって異なります。
※赤枠内が保険料率です。
雇用保険料
一般的な事業の場合、保険料率は合計1.35%に引き下げられました(前年度は1.45%)。2026年4月分から適用されています。このうち、従業員が負担するのは0.5%で、残りは会社が負担します。

※赤枠内は一般事業の雇用保険料率(自己負担分)です。
これらの料率は、給与総額や標準報酬月額に応じて計算され、給与明細に具体的な控除金額として記載されます。保険料率は以下の表の通りです。

社会保険料の計算方法

社会保険料は、保険の種類によって計算の基準が異なります。健康保険・厚生年金保険・介護保険は「標準報酬月額」を基に、雇用保険は「給与総額」を基準に、それぞれの保険料率を掛けて計算します。
給与明細で差し引かれている社会保険料がどのように算出されているのか理解すると、自分の手取り額を予測しやすくなります。
社会保険料の計算式と保険料率一覧
社会保険料は基本的に以下のような計算式で算出します。
- 健康保険料の計算:標準報酬月額 × 健康保険料率
- 厚生年金保険料の計算:標準報酬月額 × 厚生年金保険料率
- 子ども・子育て支援金の計算:標準報酬月額 × 支援金率
- 雇用保険料の計算:給与総額 × 雇用保険料率
ここで使われる「標準報酬月額」とは、給与を一定の等級に区分し、その等級ごとに定められた金額で、実際の給与額ではなくこの標準額を基に保険料が計算されます。
2026年度の具体的な料率は、前章「2026年度の保険料率」でご紹介した通りです。
標準報酬月額の算出方法
標準報酬月額の基準となるのは、4月・5月・6月の3ヶ月間に実際に支払われた給与(報酬)の平均額です。
対象となる給料には、基本給のほか、残業手当や家族手当、通勤手当、精勤手当、管理職手当などが含まれます。一方、ボーナス(年3回以下の場合)や臨時的なインセンティブ、お祝い金などは含まれません。
<標準報酬月額の算出例>
東京都で4月の給料32万円、5月の給料29万円、6月の給料33万円の場合
(32 万円+29 万円+33 万円)÷ 3ヵ月=31.3 万円
4~6 月の3ヵ月平均額は31.3万円です。これを下図の「保険料額表」の区分にあてはめると、報酬月額31万~33万円に含まれるため、健康保険は23等級(厚生年金保険は20等級)と算出できます。
【40歳未満の場合の社会保険料(従業員負担分・2026年度)】
- 健康保険料:15,760円
- 厚生年金保険料:29,280円
- 子ども・子育て支援金:368円
雇用保険料は給与総額を基準に別途計算されるため、ここには含まれていません。上記3項目の合計は45,408円です。

同じ月収でも年齢で変わる社会保険料
ここでは、2026年度の料率にもとづいた簡易的な計算例を示します。実際の控除額は加入している健康保険組合や標準報酬月額によって変わりますので、あくまで目安としてご覧ください。
例①:30歳(自己負担分)/月収35万円の場合
- 健康保険料:350,000円 × 4.925% ≒ 17,238円
- 厚生年金保険料:350,000円 × 9.15% ≒ 32,025円
- 雇用保険料:350,000円 × 0.5% ≒ 1,750円
- 子ども・子育て支援金:350,000円 × 0.115% ≒ 403円
合計:約51,400円
例②:45歳(自己負担分)/月収35万円の場合(介護保険料含む)
- 健康保険料:350,000円 × 4.925% ≒ 17,238円
- 介護保険料:350,000円 × 0.81% ≒ 2,835円
- 厚生年金保険料:350,000円 × 9.15% ≒ 32,025円
- 雇用保険料:350,000円 × 0.5% ≒ 1,750円
- 子ども・子育て支援金:350,000円 × 0.115% ≒ 403円
合計:約54,300円
このように、40歳以上になると介護保険料が加算されるため、同じ月収でも30代と比べて社会保険料の負担が増えます。
なお、これらはあくまで簡易計算による目安です。実際には標準報酬月額の等級区分に基づいて計算されるため、給与額が同じでも控除額が若干異なる場合があります。詳しくは勤務先の給与明細で実際の控除額を確認してください。
毎年9月に社会保険料の見直しがある
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、毎年9月に見直されます。
これは、社会保険料の計算に使われる「標準報酬月額」が、毎年4月から6月までの平均給与をもとに決定され、その金額が9月分の給与から適用されるためです。
そのため、4月から6月に残業や手当で給与が上がると、9月以降の社会保険料もそれに応じて増える可能性があります。「9月から控除額が変わった」と感じたら、この仕組みによるものです。
給与明細での社会保険料の見方

給与明細には、総支給額から差し引かれる社会保険料が控除欄に記載されています。これらの保険料は会社と従業員が折半で負担しますが、給与明細に記載されているのは従業員負担分のみです。給与明細の「社会保険料合計」欄には、これらの従業員負担分を合計した金額が表示されています。
給与明細の基本構造
給与明細は、通常「支給」「控除」「勤怠」の3つの欄に分かれています。
- 勤怠欄:出勤日数、欠勤日数、残業時間など
- 支給欄:基本給、各種手当など、支給される金額
- 控除欄:社会保険料、税金など、差し引かれる金額
控除欄には、社会保険料などとして以下の項目が記載されています。
- 健康保険料
- 子ども・子育て支援金(2026年4月分以降)
- 厚生年金保険料
- 介護保険料(40歳以上65歳未満)
- 雇用保険料
2026年度の東京都・協会けんぽを例にすると、40歳未満の会社員では、これらの従業員負担分を合計すると額面給与の約14.7%が目安です。40歳以上65歳未満では、介護保険料が加わるため約15.5%が目安となります。
特に健康保険料と厚生年金保険料の負担が大きいため、給与明細ではそれぞれの金額を確認しておくとよいでしょう。
下図は、40歳未満・独身の会社員(月収31万円)を例にした給与明細です。社会保険料の合計額(45,538円)を見ることで、毎月どれだけの社会保険料が差し引かれているかを一目で把握できます。
なお、給与明細のフォーマットや項目名は会社によって異なります。ここで紹介する構造はあくまで一般的な例であり、実際の記載内容は勤務先の給与明細で確認してください。

給与明細の確認ポイント
給与明細を確認する際は、以下の点をチェックしましょう。
- 基本給や各種手当など、支給額に間違いがないか
- 健康保険料や厚生年金保険料などの控除額が、前月と比べて大きく変わっていないか
- 9月以降、標準報酬月額の見直しによって社会保険料が変わっていないか
給与明細を定期的に確認することで、控除額の変化にも気づきやすくなります。特に昇給や年齢の節目など、給与や社会保険料が変わるタイミングでは確認しておくとよいでしょう。
社会保険料は減らせなくても手取り額を増やす方法

社会保険料は法律にもとづいて計算されるため、任意に減らすことはできません。一方で、税金に関する控除制度を正しく活用することで、結果として手取り額を増やすことは可能です。 重要なのは、社会保険料と税金の控除制度を混同しないことです。
税金の控除で手取りを増やす方法
手取り額を増やすために検討できる主な税金控除は以下の通りです。
- 配偶者控除・扶養控除:配偶者や扶養親族がいる場合
- 生命保険料控除:生命保険に加入している場合
- 医療費控除:年間医療費が一定額(通常10万円)を超えた場合
- ふるさと納税(寄附金控除):自治体への寄附
- iDeCo(小規模企業共済等掛金控除):個人型確定拠出年金への掛金
これらを活用することで、所得税・住民税が軽減され、結果として手取り額が増えます。
不動産投資による節税という選択肢
給与所得がある方の中には、不動産投資を通じて税負担を調整する方法を検討する方もいます。不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算することで、その年の所得税・住民税が軽減される仕組みです。
主な要因として、建物の減価償却費を経費計上できる点が挙げられます。
ただし、不動産投資は本来「資産形成の手段」であり、節税だけを目的に行うものではありません。空室リスクや金利変動、修繕費の発生など、投資に伴うリスクも十分に理解した上で検討する必要があります。
不動産投資の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://www.willgrp.co.jp/column/column-8533/
社会保険料と税控除の違い
よくある誤解として、「扶養控除を適用すれば社会保険料が減る」というものがあります。しかし、扶養控除は所得税・住民税の計算に適用される制度であり、社会保険料には影響しません。
健康保険料や厚生年金保険料は、本人の給与額を基に計算されるため、扶養家族の人数によって増減することはありません。
同様に、給与所得控除(給与収入から自動的に差し引かれる控除)も、税金の計算には影響しますが、社会保険料の算定には影響しません。
控除を受けるための手続き
税金の控除を受けるには、適切な手続きが必要です。
- 配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・iDeCo:年末調整で申告可能
- 医療費控除:確定申告が必要
- ふるさと納税:確定申告、またはワンストップ特例制度を利用
- 不動産投資(損益通算):確定申告が必要
年末調整で申告できる控除は、勤務先から配布される申告書に必要事項を記入して提出します。医療費控除や不動産所得の損益通算など、年末調整では対応できないものは、翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。
これらの制度は法律で認められた正当な節税方法です。適切に活用して、手取り額の最適化を図りましょう。
まとめ
社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料(40歳以上65歳未満)に加え、2026年4月から子ども・子育て支援金も加わり、給与の約14.7~15.5%(従業員負担分)が控除されています。
標準報酬月額をもとに計算され、9月に見直される仕組みも押さえておきましょう。 社会保険料そのものを減らすことはできませんが、iDeCoやふるさと納税といった税控除、さらには不動産投資による損益通算を活用することで、結果的に手取り額を増やすことは可能です。
ウィルレイズでは、こうした税制の仕組みを踏まえた不動産投資のご相談を承っております。「自分の場合、具体的にどれくらい節税効果があるのか知りたい」という方は、お気軽に無料相談をご利用ください。
【参考資料】
■厚生労働省「雇用保険料率について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
■協会けんぽ「令和8年度保険料額表」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/premium_prefectures/r08/index.html
■こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido
■iDeCo
https://www.ideco-koushiki.jp/
■国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
■国税庁「No.1140 生命保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
■国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
■国税庁「No.2250 損益通算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm