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不動産投資コラム

老後の生活費はいくら?30代・40代・50代の貯蓄目標と準備方法

「年金だけで本当に足りるのか」と、不安を感じたことはありませんか。

総務省の家計調査によると、公的年金などの収入だけでは夫婦世帯で月約4万円、単身世帯で月約3万円の不足が生じています。この状態が25年間続くと、夫婦世帯では約1,300万円の備えが必要になる計算です。

老後資金を準備する第一歩は、「いくら必要なのか」を知ることです。

本記事では必要な貯蓄額の目安や年代別の積立シミュレーション、効率的な資産形成の方法を分かりやすく解説します。

【この記事でわかること】

  • 老後に本当に必要な貯蓄額の目安
  • 年代別の積立シミュレーション
  • 新NISA・iDeCo・不動産を活用した資産形成
  • 老後資金で注意すべきリスクと対策

老後に必要な貯蓄額はいくら?生活費と年金から逆算する

老後の貯蓄を考えるうえで、まず確認したいのは「毎月いくら使うのか」と「公的年金などでいくら受け取れるのか」です。

このセクションでは、公的データをもとに老後の平均的な生活費と年金受給額を整理し、必要な貯蓄額を考える土台を作っていきます。まずは支出側の実態から見ていきましょう。

総務省の家計調査に基づく老後の生活費

総務省「家計調査報告【家計収支】2025年」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月々の支出は約30万円とされています。内訳は消費支出が約26.4万円、税金・社会保険料などの非消費支出が約3.3万円です。

出所:総務省統計局

単身世帯の月々の支出は約16万円です。内訳は消費支出が約14.8万円、税金・社会保険料などの非消費支出が約1.3万円です。

出所:総務省統計局

支出の内訳には食費・住居費・水道光熱費に加え、医療費・交通費・通信費・交際費なども含まれます。老後は現役時代より医療費の割合が高くなりやすく、賃貸住宅に住んでいる場合や車を所有している場合は、平均よりさらに支出が増える点に注意が必要です。

では、年金収入と照らし合わせると、実際の家計はどうなるのでしょうか。

厚生労働省のデータから見る平均的な年金受給額

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の月額平均受給額は以下のとおりです。

■厚生年金
月額平均受給額:150,289円(男性:169,967・女性:111,413)

出所:厚生労働省

■国民年金
月額平均受給額:59,310円(男性:61,595・女性:57,582)

出所:厚生労働省

会社員として厚生年金に長く加入していた人と、自営業・フリーランスで国民年金のみだった人では、受給額に大きな差があります。また、転職歴が多い方や保険料の未納期間がある方は、平均より少なくなる可能性があります。

自分の受給見込み額を把握するには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の活用が有効です。平均額だけで判断せず、自分自身の年金額を確認しておくことが、老後資金計画の第一歩です。

毎月の不足額と、長期で見た場合の影響

公的年金などを含めた実収入と支出を照らし合わせると、毎月の不足額は次のようになります。なお、収入額は総務省「家計調査報告【家計収支】2025年」における実収入(公的年金・個人年金などを含む)をもとにしています。

  • 夫婦世帯:254,395円-296,829円=▲42,434円
  • 単身世帯:131,456円-161,435円=▲29,979円

月々の不足額は一見小さく見えるかもしれませんが、老後25年間で換算すると次のような規模になります。

  • 夫婦世帯:約1,300万円
  • 単身世帯:約900万円

これはあくまで最低限の生活費を前提にした試算です。旅行・趣味・住宅修繕・介護費用など、ゆとりある暮らしを想定すると、さらに備えが必要になります。

ゆとりある老後生活を送るための費用

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)では、夫婦2人の「最低日常生活費」は月23.9万円、「ゆとりある老後生活費」は月39.1万円とされています。最低限の生活費(月23.9万円)と比べると、毎月約15万円の上乗せが必要な計算です。

出所:生命保険文化センター

この差額には、旅行・外食・趣味・交際費など、日々の生活をより豊かにするための費用が含まれています。老後資金を考える際は、「平均的な数字」を参考にしつつも、自分がどんな老後を送りたいかを具体的にイメージし、それに見合った準備を早い段階から始めることが大切です。

出所:生命保険文化センター

年代別に見る老後資金のシミュレーション

老後資金の準備は、何歳から始めるかによって毎月の積立負担が大きく変わります。前セクションで確認したとおり、老後の不足額を25年間で換算すると、今回の試算では夫婦世帯で約1,300万円、単身世帯で約900万円となります。

ここでは夫婦世帯を前提に、「老後資金1,300万円」を目標とした場合の、30代・40代・50代それぞれの積立目安をシミュレーションで確認していきます。

30代から始める老後貯蓄の目安

30代は結婚・住宅購入・子育てなど出費が増えやすく、老後資金の準備が後回しになりがちな時期です。しかし、65歳まで30年以上という時間的余裕が最大の武器になります。

少額からでも早く始めることで、複利の効果を最大限に活かせます。

〈30歳スタートで1,300万円を目指す場合〉
・毎月の積立額貯蓄のみ(運用なし):約31,000円
・積立運用(年利3%):約18,000円

運用ありの場合、貯蓄のみと比べて毎月の負担を約1.3万円抑えられる計算です。30代は運用期間が長いため、短期的な値動きに左右されにくく、リスクを取りやすい年代といえます。

新NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用しながら、まずは毎月1万円でも自動積立の仕組みを作ることが、長期継続の第一歩です。

※金融庁「資産運用シミュレーション」を参考に当社試算

出所:金融庁
結果はあくまで仮定に基づく計算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

40代で確認すべき老後資金の進捗

40代は収入が上がりやすい一方、教育費や住宅ローンで家計が圧迫されやすい時期です。老後資金の準備に不安を感じやすい年代でもあります。

この時期に大切なのは、新たに始めること以上に、現状を正確に把握することです。預貯金だけでなく、企業型DC・個人年金保険・退職金制度なども含めて棚卸しし、ゴールまでの残りを逆算しましょう。

〈40歳スタートで1,300万円を目指す場合〉
毎月の積立額貯蓄のみ(運用なし):約43,000円
・積立運用(年利3%):約29,000円

30代スタートと比べると、毎月の負担は約1.4倍に増えます。家計に余裕がない場合は、固定費の見直し(保険料・通信費・不要なサブスクなど)から着手し、積立に回せる金額を確保することが現実的なアプローチです。

また、子どもの教育費との兼ね合いも重要です。教育資金と老後資金を切り分けて管理し、それぞれの目標額と時期を明確にしておくと、計画が立てやすくなります。

※金融庁のデータをもとに試算

出所:金融庁
結果はあくまで仮定に基づく計算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

50代からラストスパートをかける貯蓄計画

50代は教育費の負担が落ち着き、老後資金に集中しやすくなる時期です。一方で、65歳まで15年以下という残り時間を考えると、より計画的な行動が求められます。

〈50歳スタートで1,300万円を目指す場合〉
毎月の積立額貯蓄のみ(運用なし):約72,000円
・積立運用(年利3%):約57,000円

貯蓄のみの場合は月約7.2万円、運用を活用すれば月約5.7万円まで負担を抑えられますが、それでも高水準です。50代は運用期間が短い分、大きなリスクを取りにくいため、預貯金・債券・投資信託をバランスよく組み合わせる保守的な運用が現実的です。

積立額の確保が難しい場合は、退職金の活用も視野に入れましょう。ただし、退職金を一度に高リスク商品へ投資するのは避け、受け取り後の使い道を事前に計画しておくことが重要です。

また、今のうちから年金収入の範囲で生活できる家計に近づけておくことも大切です。現役時代の支出水準のまま老後を迎えると、家計が想定以上に苦しくなるリスクがあります。

50代からでも、準備は決して遅くありません。まず現状を正確に把握し、できることから着実に進めていきましょう。

※金融庁のデータをもとに試算

出所:金融庁
結果はあくまで仮定に基づく計算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

老後資金を効率的に準備する具体的な方法

老後資金の準備には毎月数万円規模の積立が長期にわたって必要ですが、預金だけで賄おうとすると、低金利・物価上昇が続く現在の環境では実質的な資産価値が目減りするリスクがあります。このセクションでは、税制優遇が受けられる新NISA・iDeCoと、毎月の家賃収入が期待できる不動産投資、それぞれの特徴と活用方法を解説します。

新NISAを活用した長期的な資産形成

新NISAは、投資で得た利益に通常20.315%の税金が非課税になる制度です。2024年から制度が大幅に拡充され、老後資金づくりに一層活用しやすくなりました。

〈新NISAの主な概要〉
年間投資枠:最大360万円
・生涯非課税限度額:1,800万円
・非課税保有期間:無期限
・途中引き出し:いつでも可能

老後資金を目的とする場合は、つみたて投資枠で投資信託を毎月コツコツ積み立てる方法が基本です。毎月数千円からでも始められるため、まずは継続できる金額でスタートすることが大切です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)による節税効果

iDeCoは、自分で掛金を積み立て、選んだ金融商品で運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。新NISAとの最大の違いは、3段階にわたる税制優遇があります。

〈iDeCoの3つの税制優遇〉
掛けるとき:掛金が全額所得控除の対象
・増やすとき:運用益が非課税
・受け取るとき:退職所得控除・公的年金等控除の対象

年収が高く所得税率が高い人ほど節税効果を実感しやすい制度です。ただし、原則60歳まで引き出しができない点に注意が必要です。生活費や教育費とは切り分けて、余裕資金で積み立てることが基本です。

インフレに強い資産として不動産投資という選択肢

新NISAやiDeCoは老後資金づくりに有効な手段ですが、これらは主に金融資産を増やすための方法です。株式市場の変動によって資産価値が上下するため、これだけに偏ると不安を感じる方も少なくありません。

そのため、老後資金の準備では「資産を増やすこと」とあわせて、「収入源を分散すること」も重要になります。

その選択肢の一つとして考えられるのが不動産投資です。不動産は、物価上昇に伴って資産価値や家賃収入が上がりやすい特徴があり、インフレ対策として注目されることがあります。

金融資産による積立と、不動産による安定した家賃収入を組み合わせることで、よりバランスの取れた老後資金の準備につながります。

老後の貯蓄を進める上で注意すべきポイント

老後資金の準備は、積み立てを続けるだけでは十分とはいえません。長期にわたる資産形成の途中には、計画を狂わせる出来事が必ず起こりえます。収入が年金中心になる老後は特に、予想外の支出が家計に直結しやすいためです。

ここでは、事前に知っておくべき3つのリスクと、それぞれの対策を解説します。

インフレによる資産価値の目減りリスク

老後資金を考えるうえで見落としやすいのが、インフレによる資産価値の低下です。インフレとは物価が上がり、お金の価値が相対的に下がることを指します。

たとえば、現在100万円の貯蓄があっても、毎年2%の物価上昇が10年間続くと、実質的な価値は約81万円まで下がる計算になります。預貯金の金額は変わらなくても、実際に買えるモノやサービスは少なくなってしまうのです。

近年は食料品や光熱費を中心に物価上昇が続いており、預貯金だけで資産を保有するリスクは以前より高まっています。インフレ対策の基本は、現金や預貯金だけに偏らず、株式・不動産などインフレに強い資産を長期的に組み合わせて保有することです。

医療費や介護費用など突発的な支出への備え

年齢を重ねるほど、病気・ケガ・介護が必要になる可能性は高まります。こうした支出は事前に予測しにくく、老後の家計に大きな影響を与えることがあります。

日本には高額療養費制度がありますが、差額ベッド代・先進医療・介護用品の購入・住宅のバリアフリー改修などは自己負担になる場合があります。

生命保険文化センターの調査(2024年度)によると、介護にかかる費用の目安は以下のとおりです。

〈介護費用の目安〉
一時的な費用(住宅改修・介護用品など):平均約47.2万円
・月々の費用:平均約9万円
・介護期間:平均約55か月(4年7か月)
・介護費用の概算:合計約542万円

介護が長期化すれば、500万円を超える支出になる可能性もあります。

出所:生命保険文化センター

〈医療費・介護費への備え方〉
まず、公的保険や高額療養費制度の内容を把握したうえで、カバーしきれない部分を民間保険や貯蓄で補う考え方が基本です。

老後資金とは別に、医療・介護専用の予備費として100〜200万円程度を確保しておくと、いざというときに慌てずに済みます。また、早めに住宅のバリアフリー化を検討しておくことも、将来の大きな出費を抑えることにつながります。

退職金に依存しすぎない資金計画の重要性

老後資金を考える際に、退職金を前提にしすぎることには注意が必要です。退職金の水準は年々低下傾向にあります。

厚生労働省「就労条件総合調査」によると、2018年と2023年を比較すると大学・大学院卒の平均退職金額は1,983万円から1,896万円へと約90万円減少しています。また退職給付制度がある企業の割合も80.5%から74.9%へと低下しており、退職金制度そのものを持たない企業も増えています。

特に中小企業勤務や転職回数が多い場合は、支給額が平均より少なくなることも珍しくありません。

〈退職金に依存しないための対策〉
「上乗せ」と位置づける:退職金ゼロでも成立する計画を先に立てる
・金額を早めに確認する:勤務先の退職金規程・企業型DCの残高を把握する
・自助努力で補う:不動産投資など安定した収入源の確保を検討する

退職金は「もらえたらラッキー」くらいの位置づけにしておくことで、万が一の際にも計画が崩れにくくなります。

出所:厚生労働省

まとめ

年金収入だけでは夫婦世帯で月約4.2万円、単身世帯で月約3万円の不足が生じ、25年間では夫婦世帯で約1,300万円、単身世帯で約900万円の自己資金が必要になります。

老後資金を準備する方法には、新NISAやiDeCoなどの金融資産による積立、預貯金による安全資産の確保、不動産投資による家賃収入などがあります。自分のライフプランやリスク許容度に合わせて、まずは現在の資産額や年金受給見込み額を確認し、自分に必要な老後資金を把握することから始めましょう。

【参考資料】
■総務省統計局「家計調査報告【家計収支編】」2025年(令和7年)平均結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
■厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」p26・p27
https://www.mhlw.go.jp/content/001617995.pdf
■生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html
■金融庁「つみたてシミュレーター」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
■金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
■iDeCo公式サイト「iDeCo」
https://www.ideco-koushiki.jp/
■生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html
■厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/index.html

監修者
FPヤマネー(yamony)

資格:2級FP技能士・日商簿記2級・宅地建物取引

建築学科を卒業後、建設会社での実務を経て不動産業界に転身。
「お金のことは難しい」「誰に相談すればいいかわからない」といった不安や疑問に応えていきたいという思いから、FPとしての活動を開始。これまで培った知見と経験を活かし、「できるだけわかりやすく」「今日から実践できる」お金の情報提供を心がけています。

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