不動産投資の失敗事例|初心者が陥りやすい原因と8つの対策

不動産投資に興味があっても、「失敗して大きな損失を抱えたらどうしよう」「どのような点に注意すればよいのか分からない」と不安に感じる方もいるでしょう。
不動産投資では、物件選びや資金計画、購入後の運営、売却など、さまざまな場面でリスクがあります。利回りだけを見て物件を選んだり、無理な借入をしたりすると、空室や家賃下落、修繕費などによって想定していた収支を確保できなくなる可能性があります。
本記事では、初心者が陥りやすい不動産投資の失敗例を4つのフェーズに分けて解説します。さらに、失敗が起こる原因や、購入前から購入後まで確認しておきたい8つのポイントについても紹介します。
この記事でわかること
- 不動産投資で起こりやすい失敗事例
- 不動産投資が失敗する主な原因
- 失敗を避けるために確認したい8つのポイント
初心者が陥りやすい不動産投資の失敗事例(フェーズ別)

不動産投資の失敗は、特定の個人にだけ起こるものではなく、いくつかの共通したパターンが存在します。
ここでは、こうした失敗につながりやすいポイントを「① 物件選定」「② 資金計画・融資」「③ 運営」「④ 出口・意思決定」の4つのフェーズに分け、初心者が陥りやすいケースを具体的に見ていきましょう。
① 物件選定フェーズの失敗
物件選定では、利回りや物件価格だけで判断し、賃貸需要や物件の状態を十分に確認しないまま購入すると、失敗につながる可能性があります。
1つ目は、利回りの高さだけで判断し、需要調査を怠るケースです。
表面利回りだけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税などを踏まえた収支を確認し、周辺の人口動態や競合物件などから賃貸需要を見極める必要があります。新築物件では新築時の家賃水準から下落する可能性があり、地方・郊外では人口減少などによって空室が長期化することもあります。
2つ目は、物件の状態や法的な問題を十分に確認しないまま購入するケースです。
違法建築や告知事項、給排水設備の劣化など、見た目だけでは分からない問題が隠れていることがあります。現地確認や、必要に応じて建物状況調査(ホームインスペクション)などを行わずに購入すると、購入後に予期せぬ修繕費が発生したり、売却時に影響したりする可能性があります。
どちらのケースも、購入前のひと手間を惜しんだことが、購入後の想定外の負担につながっている点で共通しています。
② 資金計画・融資フェーズの失敗
資金計画では、借入額や金利、将来の資金繰りを十分に検討しないまま購入すると、返済が負担になる可能性があります。
1つ目は、身の丈を超えた過剰な借入です。
自己資金ゼロのフルローンや物件価格以上の融資(オーバーローン)など、無理な借入をすると、空室や修繕などの支出が発生した際に対応しにくくなります。また、不動産業者から不正な融資スキームを持ちかけられ、預金通帳の改ざんなどに加担してしまうケースにも注意が必要です。
2つ目は、金利上昇や資金繰りへの備え不足です。
変動金利を選んだ場合、金利上昇によって返済額や総返済額が増える可能性があります。空室や修繕なども含めて、無理なく返済を続けられるか確認することが大切です。
3つ目は、節税目的に偏った物件選定です。
節税効果はあくまで副次的なメリットと捉え、キャッシュフローが健全に出る物件かどうかを第一の判断基準にしましょう。将来の収入状況の変化(転勤、退職、給与変動など)も見据えたうえで、損益通算に依存しすぎない収支計画を立てておきましょう。
いずれも、目先の返済額や税制上のメリットだけでなく、将来にわたる資金の使い方を見据えて判断することが重要です。
【実際にあった事例】
不正な融資書類の改ざん問題:2018年、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡る問題が社会化しました。運営会社のスマートデイズは、「利回り8%前後」「30年間の家賃保証」などをうたい、オーナーに1億円前後の融資を受けさせていました。融資審査に使われた預金通帳のコピーでは、残高約1万円が3,000万円余りに改ざんされた事例も明らかになっています。運営会社の経営破綻後、多くのオーナーが返済原資を失い、約1,000億円規模の融資問題に発展しました。
③ 運営フェーズの失敗
運営フェーズでは、購入後の家賃収入や支出を楽観的に見積もると、資金繰りが悪化する可能性があります。
1つ目は、家賃収入の過大評価です。
購入当初の家賃が続くと想定し、周辺の競合物件や建物の経年による家賃下落を考慮していないケースです。また、「家賃保証があるから安心」と考え、サブリース契約の賃料改定や契約条件を十分に確認しないまま利用することも、想定した収入を得られなくなる原因になります。
2つ目は、想定外の支出や税負担への備え不足です。
設備の故障や原状回復、大規模修繕、災害などによる支出を十分に見込んでいないと、資金繰りを圧迫する可能性があります。また、減価償却費の減少によって課税所得が増える一方、ローンの元金返済は続く「デッドクロス」によって、税引後の手元資金が目減りすることもあります。
3つ目は、管理会社選びの失敗です。
管理手数料の安さだけで選ぶと、募集や入居者対応が不十分になり、空室の長期化やトラブル対応の遅れにつながることがあります。また、管理会社の経営悪化や倒産により、家賃の送金が遅れたり、回収が困難になったりするリスクにも注意が必要です。
いずれも購入時点では見えにくいリスクであり、運営を始めてから初めて表面化するという共通点があります。
【実際にあった事例】
家賃保証を過信したケース:国民生活センターには、「空室時でも家賃が保証される」と説明され、投資用ワンルームマンションを契約した20代の相談事例が寄せられています。しかし、実際の家賃保証は5年間の期限付きでした。固定資産税などを含めると、契約当初から毎月約2万円の赤字となり、物件を売却してもローンが残るオーバーローンの状態に陥っていました。
④ 出口・意思決定フェーズの失敗
出口・意思決定フェーズでは、売却など将来の選択肢や、家族との合意を十分に考えないまま投資を続けると、判断が難しくなることがあります。
1つ目は、出口戦略が不明確なまま保有を続けることです。
購入時から将来の売却価格やローン残債、売却にかかる費用などを想定していないと、売却したくなったときに売却価格がローン残債を下回り、売却が難しくなる可能性があります。
2つ目は、配偶者や家族に相談せず購入することです。
空室や修繕などで追加の負担が生じた際、家族との間で認識に差があると、対応や売却の判断が難しくなることがあります。
いずれも、問題が表面化した時点ではすでに手遅れになっているケースが多く、早い段階での準備と合意形成が欠かせません。
不動産投資で失敗が起こる主な原因

不動産投資の失敗には、個別の原因だけでなく、いくつかの共通する背景があります。
知識不足:物件価格や利回り、融資、税金などの基本的な知識が不足していると、提示された数字や営業担当者の説明だけで判断してしまうことがあります。
計画不足:空室や家賃下落、修繕、金利上昇などを想定した収支計画を立てていないと、想定外の支出や収入減少に対応しにくくなります。
業者依存:「節税になる」「高利回り」「家賃保証がある」といった営業トークを鵜呑みにし、自分で現地調査や複数の物件・業者との比較を行わないと、物件の収益性やリスク、自分に合った投資かどうかを十分に判断できないまま購入してしまうことがあります。
こうした要因が重なると、リスクを十分に把握しないまま購入を決めてしまう可能性があります。
不動産投資で失敗しないための8つのポイント(フェーズ別対策)

不動産投資で成功するためには、失敗事例から学び、具体的な対策を講じることが不可欠です。ここでは、先述の4フェーズに対応する形で、初心者が失敗を未然に防ぐための8つのポイントを解説します。
【物件選定フェーズの対策】現地調査と収支シミュレーション
物件選びでは、利回りや価格だけで判断せず、物件や周辺環境、賃貸需要などを確認することが大切です。複数の物件や不動産会社を比較し、購入前に情報を集めておきましょう。
1.現地調査と複数業者・物件の比較
1つ目は、現地調査です。
物件購入を検討する際は、現地に足を運び、周辺環境や交通の便、生活インフラ(スーパー、病院、学校など)に加え、そのエリアの人口動態、賃貸需要、競合物件の家賃相場や空室率を確認しましょう。特に中古物件の場合は、建物の傾き、雨漏り、給排水管の劣化状況など、見た目だけでは分からない問題がないか、専門家による建物状況調査(ホームインスペクション)も検討します。
2つ目は、複数業者・物件の比較です。
1社の提案だけを鵜呑みにせず、複数の不動産会社に相談し、さまざまな物件やプランを比較検討しましょう。営業担当者がメリットだけでなく、デメリットやリスクについても説明してくれるか、対応を確認することも大切です。
2.収支シミュレーションの徹底
表面利回りだけでなく、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料などの必要経費を考慮し、実質的な収益やキャッシュフローを確認しましょう。空室期間の長期化や家賃下落、金利上昇など複数のケースを想定してシミュレーションを行い、それでも無理なく保有できるか確認することが大切です。
いずれも、購入前の現地確認や数字の精査を尽くしておくことが、購入後の安定した経営につながります。
【資金計画・融資フェーズの対策】無理のない融資プランと節税判断
無理のない借入は、長期的な経営を安定させる土台になります。借入条件だけでなく、節税との向き合い方も含めて検討しておきましょう。
1.適切な融資・ローンプランを組む
自己資金の割合を増やし、身の丈に合った借入額に抑えることで、リスクへの耐性を高めましょう。金利上昇が心配な場合は、全期間固定型金利のローンを検討すると、毎月の返済額を安定させることができます。また、住宅ローンの繰り上げ返済は低金利のため、手元資金を投資に回した方が良い場合もあり、資金の使い方には注意が必要です。
2.節税目的に偏らない投資判断をする
節税効果はあくまで副次的なメリットと捉え、キャッシュフローが健全に出る物件かどうかを第一の判断基準にしましょう。将来の収入状況の変化(転勤、退職、給与変動など)も見据えたうえで、損益通算に依存しすぎない収支計画を立てることが重要です。
いずれも、目先の返済額や税制上のメリットだけでなく、将来にわたる資金の使い方を見据えて判断することが重要です。
【運営フェーズの対策】資金繰りと管理会社の見直し
購入後は、空室や修繕、設備故障などによって想定外の支出が発生することがあります。こうした事態に備え、日頃から資金繰りや物件の管理状況を確認しておきましょう。
1.予期せぬ出費に備えて資金を確保する
大規模修繕や設備故障、原状回復など、購入後にはまとまった支出が発生することがあります。家賃収入の5%〜10%程度を修繕積立金として、また3ヶ月〜6ヶ月分を緊急予備資金として、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。火災保険や地震保険についても、補償内容や契約期間などを定期的に確認し、物件のリスクに合った備えができているか見直すことが大切です。
2.管理会社とキャッシュフローを定期的に確認する
会社の実績や管理体制、入居者募集やトラブル対応などのサービス内容を確認し、自分の物件に合った管理会社を選びましょう。また、毎月の家賃収入からローン返済や管理費、修繕費などの支出を差し引き、実際にどれだけの現金が手元に残っているかを確認することも大切です。減価償却費の減少によって課税所得が増える一方、ローンの元金返済は続く「デッドクロス」が発生する可能性もあるため、税引後の資金繰りも確認しておきましょう。
いずれも、購入後の資金繰りと管理状況を継続的に見直す姿勢が、安定した運営を支えます。
【出口・意思決定フェーズの対策】出口戦略と家族への共有
不動産投資では、購入時だけでなく、将来の売却や保有継続についても考えておくことが大切です。購入前から複数の選択肢を想定し、状況に応じて判断できるようにしておきましょう。
1.購入前から出口戦略を考える
物件を購入する前に、将来の売却価格やローン残債、売却時にかかる費用などを確認し、売却した場合の収支を想定しておきましょう。不動産価格や家賃は将来変化する可能性があるため、購入時の想定どおりに売却できるとは限りません。価格が下落した場合やローン残債が多く残っている場合なども想定し、保有を続けるか売却するかを判断できるようにしておくことが大切です。
2.家族とも投資方針を共有する
投資を始める前に配偶者や家族と投資の目的や借入額、想定されるリスクなどを共有しておきましょう。特に、収支が悪化した場合にどのように対応するのか、保有を続けるのか売却するのかなど、あらかじめ考えを共有しておくと、状況が変化した際にも判断しやすくなります。
いずれも、購入前から将来の選択肢と家族の合意を整えておくことが、いざという時の判断のしやすさにつながります。
不動産投資の失敗に関するよくある質問
不動産投資の失敗について調べる中で、あわせて疑問に思われることが多い質問をまとめました。
不動産投資は「やめとけ」と言われるのはなぜですか?
空室や家賃下落、金利上昇、修繕費など、想定外の支出が発生しやすいことが理由の一つです。特に、知識不足のまま利回りの高さだけで物件を選んだり、営業トークを鵜呑みにして無理な借入をしたりすると、収支が悪化しやすくなります。ただし、事前の調査や資金計画を十分に行えば、こうしたリスクは軽減できます。
ワンルームマンション投資は本当に失敗しやすいのですか?
ワンルームマンションに限らず、物件の種類にかかわらず失敗は起こり得ます。重要なのは、新築・中古を問わず、表面利回りだけでなく実質利回りを確認し、周辺の賃貸需要を見極めたうえで購入することです。事前の調査や収支シミュレーションを十分に行っていれば、物件の種類そのものが失敗の直接的な原因になるわけではありません。
不動産投資のトラブルに困ったら、どこに相談すればよいですか?
宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者との取引でトラブルが生じた場合は、業者の免許・登録区分に応じて、国土交通省の地方整備局や都道府県の担当窓口に相談できます。消費者トラブル全般については、消費生活センター(188)も相談先になります。
まとめ
不動産投資の失敗は、物件選定・資金計画・運営・出口という4つのフェーズのいずれかで、知識不足や計画不足、業者依存によって起こります。実際に、家賃保証を巡る相談事例や、融資書類の改ざんが社会問題化した事案からも分かるように、業者の説明を鵜呑みにしないことが共通する教訓です。
失敗を避けるためには、購入前の現地調査・収支シミュレーションから、購入後の資金繰り・管理会社の見直し、そして売却や家族との合意形成まで、本記事で紹介した8つのポイントを一つずつ確認しておくことが大切です。
とはいえ、これらのポイントをすべて自分だけで判断するのは簡単ではありません。物件選びや資金計画に不安がある方は、専門家に相談しながら進めることも一つの方法です。当社では、無料の個別相談を実施していますので、お気軽にお問い合わせください。
【参考資料】
■東京商工リサーチ「「かぼちゃの馬車」スマートデイズの届出債権は1,053億円」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1189373_1527.html
■独立行政法人国民生活センター「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20190328_1.pdf
■東京都住宅政策本部「不動産取引、賃貸住宅に関するご相談、宅建業について」
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/fudosan
■消費者庁「消費者ホットライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/