年代別の金融資産は平均いくら?20代〜60代の中央値と資産形成のポイント

「自分の年代は、金融資産をどれくらい持っているのが普通なのだろう」「そろそろ老後に向けて資産形成を考えたほうがいいのでは」、そう感じたことはありませんか。
本記事では、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の最新調査データをもとに、20代から60代までの年代別の金融資産額や資産配分の実態を紹介するとともに、年代ごとに意識したい資産形成のポイントをわかりやすく解説します。
自分の年代の現状を確認しながら、将来に向けた資産形成の一歩を踏み出すための参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 年代別・世帯別の金融資産額(平均値・中央値)と、他の年代との違い
- 資産を保有している世帯が、預貯金以外にどのような資産で運用しているか
- 年代ごとに意識したい資産形成のポイント
人生100年時代における資産形成の重要性
人生100年時代といわれる現在は、長寿化や物価上昇などにより、お金との向き合い方がこれまで以上に重要になっています。将来の生活を安心して送るためには、預貯金だけに頼るのではなく、資産形成について早い段階から考えることが大切です。ここでは、資産形成が必要とされる理由と、年代別の金融資産の現状、自分に合った資産形成の考え方について解説します。
長寿化により老後資金が必要になる
日本人の平均寿命は年々高い水準で推移しています。高齢者住宅協会「厚生労働省:令和6年(2024年)簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。100歳以上まで生きる人も増えており、老後の生活期間は以前より長くなっています。
また、総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、65歳以上の無職世帯では、単身世帯で毎月約3.0万円、夫婦のみ世帯で毎月約4.2万円の不足が生じています。
仮に65歳から平均寿命まで生きると想定すると、老後の期間はおよそ20年前後になります。この不足額が20年間続くとすると、単身無職世帯では約720万円、夫婦のみ世帯では約1,000万円を取り崩す計算になります。ただし、実際の必要額は住居費や健康状態によって異なります。
このように、公的年金だけでは生活費を賄いきれないケースもあるため、長寿化を見据え、現役時代から計画的に資産形成を進めておくことが重要です。

インフレによってお金の価値が下がる
物価が上昇すると、同じ金額でも購入できる商品やサービスは少なくなります。例えば、100万円を預金したままでも、物価が上昇すれば実質的な購買力は低下します。
一方で、三大メガバンクの普通預金金利は0.3%前後(2026年7月時点)と上昇傾向にあるものの、総務省の「消費者物価指数」によると、物価上昇率は2026年6月時点で1.5%です。預金金利が物価上昇率を下回る場合は、預貯金だけでは資産価値を維持しにくいことがあります。
次章では、年代ごとの金融資産の状況をもとに、自分の現在地と、その年代で意識したいポイントをあわせて確認していきましょう。
年代別の金融資産の現状
金融資産の保有額は、年齢や家族構成によって大きく異なります。自分の資産状況を把握する際は、一部の高額保有世帯に引っ張られやすい「平均値」だけでなく、実態に近い「中央値」もあわせて確認することが大切です。
以下では、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査結果をもとに、金融資産を保有していない世帯を含む全世帯の保有額(下表①)と、金融資産を保有している世帯のみを対象とした内訳(下表②)を確認していきます。
下表②は金融資産ゼロの世帯を除いて算出しているため、下表①よりも高い水準になります。


年代が上がるほど保有額は増え、格差も広がる
表①を見ると、単身世帯・2人以上世帯とも、年代が上がるにつれて金融資産の保有額は増加する傾向があり、2人以上世帯では60代でピークを迎えます。すべての年代で2人以上世帯の保有額が単身世帯を上回っており、背景には、収入源が一人に限られることや、生活費・住居費を一人で負担する必要があることなどが考えられます。
実際、金融資産を保有していない世帯の割合も、単身世帯で約3割と、2人以上世帯(約2割)より高くなっています。平均値と中央値の差は、年代が上がるにつれて絶対額としては拡大する傾向にあり、一部の資産保有世帯が平均値を押し上げていることがうかがえます。

金融資産を保有している世帯は、何を保有しているのか
表①では、金融資産を保有していない世帯を含む全世帯の金融資産額を見てきました。ここでは、表②をもとに、金融資産を保有している世帯を対象とした資産配分の平均保有額から、年代ごとの特徴を見ていきましょう。

下表を見ると、預貯金はどの年代でも金融資産全体のおおむね3〜4割程度であり、株式・投資信託・保険なども大きな割合を占めています。
また、年代が上がるにつれて株式や投資信託の平均保有額も増える傾向が見られます。特に60代の2人以上世帯では、株式と投資信託の合計額は平均1,034万円と、20代(平均181万円)の約5.7倍となっています。
このように、金融資産が多い世帯ほど、預貯金だけでなく株式や投資信託なども多く保有しています。資産形成では、預貯金に加えて有価証券を組み合わせながら運用している世帯も少なくないことがうかがえます。

年代別に見る資産形成のポイント
ここからは、年代ごとの保有額(中央値)と資産配分の特徴、意識しておきたいポイントを見ていきましょう。なお、保有額は実態に近い中央値を中心に紹介し、資産配分については保有世帯の平均値をもとに解説します。
20代:少額から長期で積み立てる時期
20代は社会人になったばかりで資産形成の期間が短く、単身世帯の中央値は37万円、2人以上世帯でも125万円と、全年代の中で最も少ない水準です。一方、保有世帯に限ると、預貯金と並んで株式・投資信託への配分もすでに一定額に達しており、新NISAの普及を背景に、若いうちから長期・積立投資を始める人が増えていることがうかがえます。

20代の最大の強みは、運用できる期間が長いことです。少額でも早く始めることで、時間を味方につけた資産形成がしやすくなります。まずは、給与が入ったら一定額を自動的に貯蓄や投資へ回す「先取り」の仕組みを作り、毎月数千円からでも継続することがおすすめです。投資を始める場合は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託を対象とする、新NISAの「つみたて投資枠」が始めやすい制度です。

30代:ライフイベントと資産形成を両立する時期
30代になると、収入の増加に伴って金融資産保有額が大きく増えます。単身世帯の中央値は100万円、2人以上世帯では311万円です。生命保険や個人年金保険の保有割合も20代より明確に増え、結婚や子育てなど、ライフイベントを意識した資産管理へと切り替わる年代といえます。

教育資金や住宅購入資金など、使う時期が決まっているお金は、安全性を重視した預貯金などで準備すると安心です。一方、10年以上先に使う老後資金は、新NISAやiDeCoなどを活用して長期運用を検討するとよいでしょう。iDeCoは掛金が所得控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減効果が期待できますが、原則60歳まで引き出せないため、生活資金とは分けて積み立てることが大切です。

40代:資産を分散しながら教育資金と老後資金のバランスを考える時期
40代では金融資産保有額がさらに増え、単身世帯の中央値は100万円、2人以上世帯は500万円です。株式や投資信託の保有割合が高い水準を維持しつつ、保険性商品の比重も引き続き高まっており、教育費や老後資金など、複数の目的を見据えて資産を分散させる意識が強まる時期です。

一方で収入が増えるほど、教育費や住宅ローンなどの支出も増えやすくなります。まずは通信費や保険料などの固定費を見直し、浮いた分を積立投資に回すことを検討しましょう。教育資金など数年以内に使うお金は預貯金で確保しつつ、老後資金など10年以上先に使う資金は運用を継続することで、二つの目的をバランスよく準備できます。

50代:老後を意識した資産形成が本格化する時期
50代は、老後資金を本格的に準備する年代です。単身世帯の中央値は120万円、2人以上世帯は700万円まで増加しています。生命保険・個人年金保険の割合が大きく伸びる一方、2人以上世帯では株式が514万円となっており、「守り」と「増やす」を両立させる意識がうかがえます。

退職までの期間が短くなるにつれて、それまでの積立を大きく崩さないよう、値動きの影響を抑えた運用への切り替えを検討する時期でもあります。老後の収支を試算したうえで、iDeCoやNISAでの積立を継続するか、預貯金や債券など安定資産の比率を高めるかを、自分のリスク許容度に応じて判断するとよいでしょう。

60代:資産を守りながら計画的に活用する時期
60代は金融資産保有額が最も高く、単身世帯の中央値は300万円、2人以上世帯は1,400万円です。預貯金が最も多い一方、2人以上世帯では株式724万円、投資信託310万円と、リスク資産も高い水準にあります。退職金を受け取っても現金だけで保有するのではなく、運用を継続する世帯が少なくないことがうかがえます。

この年代では、公的年金や退職金、預貯金、投資資産などを整理し、毎月必要な生活費とのバランスを確認することが重要です。資産配分は年齢だけで判断するのではなく、生活費や資産額、リスク許容度に応じて見直しましょう。また、生活資金と当面使う予定のない資産を分けて管理し、一部は運用を継続することも、資産寿命を延ばす方法の一つです。

資産形成を始める前に押さえておきたい基本
年代別の現状を踏まえたうえで、実際に資産形成を始める前に知っておきたい共通の考え方を整理します。
ライフプランをもとに必要なお金を把握する
まずは、結婚や住宅購入、教育資金、老後など、将来予定しているライフイベントを書き出し、それぞれに必要となる資金を整理しましょう。金融庁のNISA特設サイトでは、将来の資産形成を試算できるライフプランシミュレーターを公開しています。また、日本FP協会のウェブサイトでも、ライフプランの考え方や作成方法が紹介されています。
将来必要となる金額や時期を把握しておくことで、毎月どのくらい積み立てるべきか、自分に合った資産形成の方法を考えやすくなります。

「貯める」と「増やす」のバランスを考える
生活費や緊急時の備えは預貯金で確保し、余裕資金を資産運用に回すことが基本です。金融庁では、初心者が資産運用を始める際の基本として、「長期・積立・分散投資」を推奨しています。
■長期投資は、運用期間を長く確保することで、運用益を再投資しながら複利効果を活かしやすくする考え方です。
■積立投資は、毎月一定額を継続して投資する方法です。価格が高いときは少なく、低いときは多く購入することになり、購入価格を平準化しやすいという特徴があります。
■分散投資は、投資先を複数の資産や地域に分けることで、一つの資産の値下がりによる影響を抑える考え方です。
なお、新NISAやiDeCoといった制度は改正されることもあるため、定期的に情報を確認し、自分の資産状況やライフプランに合わせて見直すことも大切です。

自分のリスク許容度を確認する
必要なお金を整理したら、自分がどの程度の価格変動まで受け入れられるかを確認しましょう。
投資には価格変動があり、元本割れが発生する可能性があります。リスク許容度は年齢だけで決まるものではなく、収入や資産額、家族構成、将来の支出予定などによって異なります。
例えば、価格が一時的に下落しても運用を続けられる人もいれば、大きな値動きに不安を感じる人もいます。無理に高いリターンを目指すのではなく、自分が安心して続けられる資産配分を選ぶことが、長期的な資産形成につながります。

無理なく続けるための3つの注意点
資産形成を長く続けるためには、次の3つを意識しましょう。
① 余裕資金で始める
生活に必要なお金ではなく、当面使う予定のない余裕資金で行うことが基本です。病気や失業などの急な支出に備え、生活費の数か月分は預貯金などで確保したうえで、無理のない範囲から積立投資を始めると安心です。
② 相場に一喜一憂しない
長期投資では、短期的な値動きを過度に気にしないことが大切です。相場は一時的に大きく変動することがありますが、価格が下がったからといって慌てて売却すると、その後の回復局面で利益を得る機会を逃す可能性があります。当初の目的に沿って、冷静に運用を続けましょう。
③ 運用コストを確認する
投資信託には信託報酬などの運用管理費用がかかります。わずかな違いでも長期間運用すると資産形成に与える影響は小さくありません。運用実績だけでなく、手数料や運用方針も確認し、自分の目的に合った商品を選びましょう。
まとめ:自分らしい資産形成に向けて一歩を踏み出そう
本記事では、年代別の金融資産の現状や資産配分の特徴、資産形成のポイントについて解説しました。資産形成に「これが正解」という方法はなく、適した方法は年齢や収入、家族構成によって異なります。
まずは家計や将来必要なお金を整理し、生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲から始めてみましょう。継続することが、将来の安心につながります。
※本記事は、資産形成に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買や投資手法を推奨・勧誘するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。また、本記事内の金利・物価上昇率・統計データは、各調査・発表時点のものです。制度内容や数値は変更される可能性があるため、最新の情報は金融庁や国税庁など公的機関の公式サイトでご確認ください。
【参考資料】
■一般社団法人 高齢者住宅協会
https://www.satsuki-jutaku.mlit.go.jp/journal/article/p=2818
■金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」
https://www.j-flec.go.jp/data/kakekin_2025/
■総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)5」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
■金融庁「ライフプランシミュレーター」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/lifeplan-simulator/
■FP協会「ライフプランについて考える」
https://www.jafp.or.jp/know/
■iDeCo「投資のリスクは長期・積立・分散投資で軽減できる!」
https://www.ideco-koushiki.jp/learn/primer/03.html