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不動産投資コラム

税金取りすぎと感じる理由|手取りが増えない仕組みを解説

「年収は上がっているのに、なぜか手取りが増えない」そう感じたことはないでしょうか。

実際、日本では税金や社会保険料を合わせると年収の2〜4割程度が差し引かれ、給与明細を見て「思ったより手元に残らない」と感じる方も少なくありません。

こうした感覚は単なる気のせいではなく、日本の税制や社会保障制度の仕組みによる影響が大きいといえます。

本記事では、日本の税負担の実態をデータに基づいて整理し、諸外国との比較や税金の使い道を確認しながら「なぜ税金が高いと感じるのか」を構造的に解説します。

あわせて今後の税制の動向にも触れ、将来に向けてどのような視点を持つべきかを整理していきます。

この記事でわかること

  • なぜ「税金が高い」と感じるのか、その本当の理由
  • あなたの手取りが増えにくい「見えない仕組み」
  • 今後の負担増にどう備えるべきか

日本の税金は本当に「取りすぎ」なのか?現状と諸外国との比較

「税金の負担が重い」と感じる背景には、感覚だけでなく客観的なデータも存在します。ここでは、日本の税負担の実態を数値で確認しながら、諸外国との比較を通じてその位置づけを整理します。

国民負担率の推移と現状の分析

日本の税負担を理解するうえで重要な指標が「国民負担率」です。

国民負担率とは、簡単にいうと「所得に対して、税金と社会保険料をどれくらい支払っているか」を示した割合です。財務省のデータによると、この割合は長期的に上昇しています(下図:青色)。

出所:財務省

昭和50年代前半(1970年代後半)には20%台で推移していましたが、近年では40%台後半に達しており、令和8年度(2026年度)は45.7%となる見通しです。収入の約半分近くが税金や社会保険料として負担されている計算です。

この背景には、少子高齢化に伴う社会保障費の増加があります。医療や年金に関する支出が拡大し、それに対応する形で健康保険料や厚生年金保険料などの負担も増えてきました。「負担が重くなっている」という実感は、データとも一致しているといえます。

次に、諸外国との比較を見ていきましょう。

諸外国の税負担との比較から見えてくること

一方で、日本の国民負担率は世界的に見て突出して高い水準とは言い切れません。同じく財務省の国際比較データ(直近公表ベース)を見ると、イギリスやドイツなどヨーロッパの主要国では、日本より高い水準となっています。

出所:財務省

これらの国々では負担が大きい一方で、医療費の自己負担が低い、大学教育の無償化が進んでいるなど、社会保障の充実度が高い特徴があります。

日本は一般的に「中福祉・中負担」に位置づけられますが、近年は負担の増加に対して将来の安心感や給付の充実を実感しにくいと感じる人も少なくありません。単純に税率の高低だけでなく、「負担と給付のバランス」に対する納得感が課題となっています。

では、納めた税金は実際にどのように使われているのでしょうか。使途を正しく把握することが、負担感を客観的に判断するための第一歩となります。

納めた税金はどこへ行く?日本の税金の主な使い道

税負担の実態を確認したところで、次に気になるのは「そのお金はどこへ行くのか」という点ではないでしょうか。納めた税金の使い道を知ることは、負担感を正しく判断するうえでの前提となります。

社会保障費の増大と少子高齢化の影響

日本の一般会計において、最も大きな割合を占めているのが社会保障関係費です。これは「年金」「医療」「介護、子育て支援など」に充てられており、国民生活に直結する支出です。

厚生労働省が公表している令和8年度予算によると、社会保障関係費は歳出全体の約3分の1(約39兆559億円)を占めています。

出所:厚生労働省

この背景には、日本特有の人口構造の変化があります。高齢者の増加により医療費や年金給付が拡大する一方で、それを支える現役世代は減少しています。このような状況では、社会保障制度を維持するために一定の財源が必要となり、その多くが税金や社会保険料によって賄われています。

結果として、国民一人あたりの負担が増えやすい構造となっています。

公共事業や教育など生活基盤を支える支出

社会保障費に次いで大きい支出には、「国債費」(約31兆2,758億円:約26%)や「地方交付税交付金」(20兆8,778億円:約17%)があります。国債費は過去の借入金の返済や利払いに充てられ、地方交付税交付金は自治体の財政を支えるために配分されます。

出所:国税庁

さらに、私たちの生活に直接関係する支出として、「公共事業関係費」や「文教及び科学振興費」があります。公共事業関係費は道路や橋、上下水道といったインフラ整備や防災・減災対策に活用されています。文教及び科学振興費は、公立学校の運営や教育環境の整備、科学技術の発展を支える役割を担っています。

出所:国税庁

このように、税金は社会保障だけでなくインフラや教育など幅広い分野に使われています。ただし、これらの恩恵は日常生活の中で直接的に意識しにくいため、負担だけが強く認識されやすい傾向があります。

また、税金の必要性とは別に、「その使い方が本当に効率的かどうか」という点については、引き続き議論の余地がある部分でもあります。

使途を理解してもなお、「それでもやはり負担が重い」と感じる方は多いはずです。実はその感覚は気のせいではなく、日本の税金や社会保険料の仕組みそのものが深く関わっています。

次章では、負担感を生み出す4つの要因を整理します。

なぜ「税金が取りすぎ」と感じてしまうのか?4つの主な理由

税金の使い道は理解できても、手取りの少なさへの不満はなかなか拭えないものです。実はその感覚には、日本の制度設計に起因する構造的な要因があります。

負担感の要因は大きく「所得に関わる負担」と「支出に関わる負担」の2つの軸に分けられます。ここでは代表的な4つの要因を解説します。

【所得に関わる負担】給与天引きで税金が見えにくい理由

会社員の多くが税負担を強く意識する理由の一つに、源泉徴収による給与天引きの仕組みがあります。所得税や住民税、社会保険料が給与から差し引かれるため、実際に手元に入る金額はあらかじめ控除された後の金額となります。

給与明細を細かく確認する習慣がない場合、毎月の控除額を正確に把握できていないケースも少なくありません。年間の合計額を改めて確認すると、その大きさに気づく方も多いのが実情です。

このように、負担が見えにくい構造そのものが、税金を「高い」と感じさせる大きな原因のひとつになっています。

【所得に関わる負担】累進課税制度による所得増加と税負担のギャップ

日本の所得税は、所得が増えるほど税率が段階的に上がる「超過累進課税制度」を採用しています。

この仕組み自体は公平性を担保するためのものですが、収入が増えたときの手取りの伸びを抑える要因にもなります。

住民税は原則として一律10%で課されるため、所得税と合わせた負担は所得の増加に応じて高まります。

昇給やボーナス増加があっても手取りの増加幅が想定より小さく感じられることがあります。特に一定の所得を超えると税率が上がるため、収入の増加幅と手取りの伸びが比例しにくい構造が、負担感を強める大きな要因です。

出所:国税庁より作成

【所得に関わる負担】社会保険料の継続的な引き上げの影響

税金と並んで、手取りに大きな影響を与えるのが社会保険料です。社会保険料とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険の総称で、毎月の給与から自動的に差し引かれます。

厚生年金保険料率は、平成16年(2004年)の年金制度改革以降、段階的に引き上げられ、平成29年(2017年)以降は18.3%で固定されています。健康保険料についても医療費の増加に伴い見直しが続いており、全体として負担は年々重くなっています。

主な保険料率(本人負担分・令和8年時点)は、厚生年金が9.15%、健康保険が4.925%(40歳未満)、介護保険が0.81%(40歳〜64歳)、雇用保険が0.5%となっています。

たとえば40歳未満で月収30万円の場合、社会保険料の本人負担は約4万3,500円程度となり所得税・住民税の合計額を上回るケースも少なくありません。

計算式:30万円 × 約14.5% = 約4万3,500円

このように、社会保険料は気づかないうちに増え続けており、手取りが伸びにくい大きな原因のひとつとなっています。なお、2026年以降に新たに加わった負担項目については次章で詳しく解説します。

出所:厚生労働省
※厚生年金保険料率推移

【支出に関わる負担】消費税など生活に密着した税金の存在

日常生活の中で常に負担を感じやすいのが、消費税をはじめとした間接税です。消費税は商品やサービスの購入時に課されるため、収入に関係なく広く負担が発生します。所得が低い人ほど負担割合が高くなる「逆進性」が指摘されており、生活コストに直結する税金の代表例といえます。

さらに、ガソリン税や酒税など特定の商品に課される税金も日常生活に広く影響しています。給与から差し引かれた後の手取りからさらに支払うことになるため、負担が重なっていると感じやすくなります。

出所:ニッセイ基礎研究所

今後の日本はさらに税金が上がる?知っておくべき税制の動向

負担感の構造を理解したうえで、今後の税制がどう変わるのかを把握しておくことも重要です。制度変更は会社員や現役世代だけでなく、資産運用を行う人にも影響が及びます。実際、直近の税制改正でも控除の見直しや高所得者への課税強化など、負担構造そのものに変化が見られます。

「知らないまま負担が増える」という状況を避けるためにも、現在進行中の改正動向を押さえておきましょう。

少子高齢化に伴う社会保険料のさらなる負担増

「税金が取りすぎだ」という声がある一方で、日本の財政状況を踏まえると、今後も負担の増加は避けにくい状況です。特に注目されているのが、少子高齢化の進行に伴う社会保険料の引き上げです。

政府は「異次元の少子化対策」として子育て支援の強化を進めており、その財源の一部として、2026年(令和8年)4月分の保険料から「子ども・子育て支援金」の徴収が開始されました。

これにより、現役世代だけでなく高齢者も含めた幅広い層で、毎月の手取りが減少しています。社会保険料は、所得税や住民税のように控除で調整しにくく、手取りに直接影響しやすい点が特徴です。そのため、実質的な負担増として受け止められるケースも少なくありません。

出所:こども家庭庁

金融所得課税の見直しと今後の負担増の動向

社会保険料だけでなく、フリーランスや事業者に影響の大きいインボイス制度が導入されたほか、会社員にも関係する資産運用分野では、株式の配当や売却益に対する金融所得課税の見直しが議論されています。

特に注目されているのが、2027年以降に予定されている超富裕層への課税強化です。一定以上の金融所得を持つ層に対して実効税率を引き上げる方向性が示されており、「1億円の壁」と呼ばれる税負担の逆転現象の是正が目的とされています。

現時点では対象は一部の高所得層に限られますが、こうした流れが将来的にどの層まで広がるのかは不透明です。今後の制度改正によっては、NISA以外での投資にかかる税負担が変化する可能性もあります。

こうした動向を踏まえると、税制は社会状況に応じて変わり続けるものです。自分の資産形成にどのような影響があるのかを意識しながら、継続的に情報をアップデートしていくことが重要といえるでしょう。

出所:財務省

まとめ

ここまで、日本の税負担が長期的に増加している背景と、手取りが伸びにくい構造について整理してきました。税金は社会保障やインフラなど生活基盤を支えるために使われていますが、給与天引きや累進課税などの仕組みにより、実際以上に負担が重く感じやすい点も見逃せません。

まずは自分の給与明細を確認し、どれだけ負担しているのかを把握すること。そのうえで、今後の税制の動向にもアンテナを張っておくことが、将来の手取りを守ることにつながります。

「なぜ負担が重いのか」を知ることが、これからの時代を賢く生き抜く第一歩です。

【参考資料】
■財務省「負担率に関する資料」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm
■財務省「財政に関する資料」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm
■厚生労働省「社会保障と財政」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21511.html
■国税庁「税の意義と役割」
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page01.htm
■国税庁「No.2260 所得税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
■協会けんぽ「令和8年度保険料額表」東京
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/R8_13tokyo.pdf
■厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」https://www.mhlw.go.jp/content/001672589.pdf
■厚生労働省「厚生年金の保険料率の推移」
https://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/04-17-14.html
■ニッセイ基礎研究所「消費税の逆進性の問題に関する考察」
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/36924_ext_18_0.pdf
■こども家庭庁「医療保険制度ごとの年収別試算はこちら」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb3dbb28-102a-4840-90a5-00ad2e0d117f/7891820b/20260206policies-kodomokosodateshienkinseido-05.pdf
■財務省「令和8年度税制改正の大綱」P25
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
■財務省:申告納税者の所得税負担率
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2022/4zen17kai1-4.pdf

監修者
FPヤマネー(yamony)

資格:2級FP技能士・日商簿記2級・宅地建物取引

建築学科を卒業後、建設会社での実務を経て不動産業界に転身。
「お金のことは難しい」「誰に相談すればいいかわからない」といった不安や疑問に応えていきたいという思いから、FPとしての活動を開始。これまで培った知見と経験を活かし、「できるだけわかりやすく」「今日から実践できる」お金の情報提供を心がけています。

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