不動産投資の基礎知識|仕組み・利回り・リスクと5ステップを解説

不動産投資は、マンションやアパート、戸建てなどの不動産を購入して貸し出し、家賃収入や売却益を狙う投資です。
会社員は融資を受けられる可能性があり、管理も委託できるため、本業と並行しやすい面があります。一方で、利益の仕組みや費用、リスクを知らずに購入すると、想定外の負担を抱えるおそれがあります。
この記事では、不動産投資の全体像と始め方を順に解説します。
この記事でわかること
- 不動産投資の利益の仕組みと、家賃から手残りを考える基本
- 区分・一棟・戸建てなどの種類の違いと、利回り・費用・リスクの見方
- 初心者が始めるための5つのステップと、リスクへの備え方
不動産投資とは?会社員が知っておきたい利益の仕組み

不動産投資の利益は、家賃収入と売却益の2つに分けられます。ただし、実際の成果は、家賃からローン返済や運営費用を引いた後の「手残り」で決まります。
給与に加えて収入源をつくれる一方で、手残りが少ないと家計の負担になります。この章では、利益の種類と、手残りの考え方を整理します。
インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の仕組み
不動産投資の利益は、大きく2種類に分かれます。
- インカムゲイン:入居者から毎月受け取る家賃収入
- キャピタルゲイン:購入価格より高く売却できた場合の売却益
賃貸経営の中心は、保有している間、毎月入ってくるインカムゲインです。例えば、月10万円の家賃が入る物件なら、年間で120万円の収入になります。
一方、キャピタルゲインは売却したときに初めて確定する利益です。例えば、3,000万円で購入した物件を3,200万円で売却できれば、単純計算で200万円の売却益になります。ただし、売却価格が購入価格を下回ると、売却損が生じます。売却損が大きいと、それまでに得た家賃収入が目減りしてしまいます。
そのため、購入する時点から「いつ、誰に、いくらで売れそうか」を考えておくことが大切です。
不動産投資の手残り(キャッシュフロー)の考え方
手残りは、次の式で考えます。なお、ここでは所得税・住民税を引く前の金額です。
手残り=家賃収入-ローン返済-運営費用(管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料など)
例えば、家賃が月10万円、ローン返済が6万円、管理費・修繕積立金が1万円、固定資産税や保険料などが1万円なら、満室時の手残りは月2万円です。
空室になると家賃収入はなくなりますが、ローン返済や管理費などの支出は基本的に続きます。そのため、この例では月8万円ほどの持ち出しになる計算です。固定資産税は年単位で支払うため、実際の出費のタイミングは月ごとに異なります。
手残りを考える際は、満室時だけでなく、空室や修繕、募集費用が発生した場合の収支も確認しておきましょう。
不動産投資の主な種類と初心者向け物件の選び方

不動産投資の対象となる不動産には、区分マンション、一棟アパート・一棟マンション、戸建てなどがあります。種類によって、必要な資金や空室時の影響、管理の難しさが大きく変わります。
この章では、それぞれの特徴を比較したうえで、初心者が目的に合わせて物件を選ぶ考え方を整理します。
区分・一棟・戸建ての違いを比較
不動産投資の対象は、大きく3つのタイプに分かれます。必要な資金や空室時の影響、管理の難しさが異なるため、下表で違いを確認しましょう。
| 種類 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 区分マンション | 購入価格が比較的低く、立地や管理状態を比較しやすい | 1戸だと空室時の収入がゼロになる。管理費・修繕積立金が毎月かかる |
| 一棟アパート・マンション | 複数の部屋から収入があり、一部が空室でも収入が途絶えにくい | 購入価格・融資額が大きい。大規模修繕をオーナーが計画・負担する |
| 戸建て | ファミリー層の需要があり、入居期間が長くなる場合もある | 退去時に収入がゼロになりやすい。築古は屋根・外壁・配管などの修繕費がかかる |
新築物件と中古物件の違い
新築は、設備が新しいため入居者に選ばれやすく、購入直後の大規模修繕も少ない傾向があります。ただし、販売価格に新築時のプレミアムが反映されやすく、購入価格に対する家賃の割合は低くなりがちです。
中古は、取得価格を抑えやすく、実際の賃料や入居状況を確認したうえで検討できるのが強みです。その反面、設備交換や修繕の時期を見極める必要があり、修繕履歴、修繕計画、管理状態、耐震性の確認が欠かせません。
築年数だけで決めず、価格・賃料・修繕見込み・賃貸需要・売りやすさを総合的に比べましょう。
物件タイプ・エリアを投資目的に合わせて選ぶ方法
選ぶときは、まず投資目的と、許容できるリスクを整理します。
- 初心者の場合:土地勘があり、賃料相場を調べやすい地域の区分マンションから始めると、収支の仕組みをつかみやすくなります。ただし、需要の弱い立地や管理状態の悪い物件は避けましょう。
- 安定収入を重視する場合:賃貸需要が続きやすいエリアを選びます。駅からの距離、通勤・通学の利便性、周辺の商業施設や大学・企業が判断材料です。再開発は時期が変わることもあるため、それだけを購入理由にしないようにしましょう。
- 一棟・戸建てを検討する場合:一棟は融資額と修繕リスクが大きく、戸建ては物件ごとの差が大きくなります。購入後の資金余力を確保し、修繕費を見込んだ計画が必要です。
どのタイプを選ぶ場合も、利回りの高さだけで決めず、次の章の利回りと収支の見方を踏まえて、自分の目的とリスクに合うかを確認しましょう。
不動産投資の利回りと収支シミュレーションの基本

物件を比較するときによく使われる指標が「利回り」です。ただし、利回りは種類によって計算の対象が異なり、数字だけでは実際の収支を判断できません。この章では、利回りの計算方法、かかる費用、そして空室や修繕を織り込んだ試算の考え方を整理します。
表面利回りと実質利回りの違い・計算方法
利回りは、投資額に対する収益の割合を示す指標です。広告に載っている利回りは、経費を含まない表面利回りであることが多いため、注意が必要です。
- 表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
- 実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時諸費用)×100
例えば、物件価格が3,000万円、年間家賃収入が120万円なら、表面利回りは4%です。実質利回りでは、管理費、修繕積立金、固定資産税、管理委託料、保険料などの経費と、購入時の諸費用を反映します。
ただし、将来の空室や突発的な修繕、家賃下落までは、計算式に反映されません。利回りは物件を比べる入口として使い、最終判断は月々の収支と長期の資金計画で行います。
購入時・保有中・売却時にかかる主な費用
物件価格以外の費用は、時期ごとに整理すると把握しやすくなります。新築か中古か、融資条件や契約内容によって、必要な費用は変わります。また、売却益が出た場合には、譲渡所得税がかかることがあります。
| 時期 | 主な費用 |
|---|---|
| 購入時 | 仲介手数料、印紙税、登記費用、司法書士報酬、不動産取得税、ローン事務手数料・保証料、火災保険料 |
| 保有中 | 固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立金、管理委託料、保険料、原状回復費、設備交換費、入居者募集費用(一棟は共用部の光熱費・清掃費・建物全体の修繕費も) |
| 売却時 | 仲介手数料、印紙税、抵当権抹消の登記費用 |
利回りだけで判断してはいけない理由と試算のチェックリスト
利回りが高い物件には、空室リスクが高い立地、築年数の古さ、大規模修繕の必要性、売却しにくさなどが隠れている場合があります。購入前には、満室想定ではなく、次の条件で試算しましょう。
- 想定家賃は、周辺相場と比べて妥当か
- 空室が3か月ほど続いたり、家賃が下がったりしても、収支が成り立つか
- 給湯器やエアコンなどの設備交換費を見込んでいるか
- 金利が1%上昇しても、返済を続けられるか
現在の家賃でわずかに黒字でも、数か月の空室や設備交換が重なれば、年間収支は赤字になり得ます。この基準で試算しても資金が回るかを、事前に確かめておきましょう。
会社員が不動産投資を行うメリットとデメリット(リスク)

会社員には、給与収入をもとに融資を受けられる可能性があり、管理を委託すれば本業と両立しやすいという強みがあります。一方で、空室や金利上昇、売却しにくさなど、見落とすと家計を圧迫するデメリット(リスク)もあります。
この章では、まずメリットを3つ整理し、そのあとに収入面・支出面・資産価値面のリスクと対策を解説します。
【メリット①】融資を活用できるレバレッジ効果
会社員は、給与収入や勤続状況をもとに、金融機関から融資を受けられる可能性があります。自己資金だけでは買えない規模の物件を、融資を使って取得できることを「レバレッジ効果」と呼びます。少ない自己資金で始められる点は、大きな強みです。
ただし、レバレッジは利益だけでなく、空室・家賃下落・金利上昇時の負担も大きくします。借入額を増やすこと自体を目的にしないようにしましょう。
【メリット②】管理を任せて本業と両立できる
管理会社に委託すれば、入居者募集、契約手続き、家賃回収、クレームの一次対応などを任せられ、本業と両立しやすくなります。ただし、収支の確認や修繕の判断といった経営判断は、オーナー自身が行います。
管理形態には、主に次の2種類があります。
| 形態 | 仕組み | 注意点 |
|---|---|---|
| 委託管理 | オーナーが入居者と契約し、管理業務を管理会社に委託。手数料を支払う | 空室時は家賃収入が入らない |
| サブリース | 管理会社が物件を借り上げ、オーナーに賃料を支払う | 「家賃保証」でも、賃料の見直しや減額が行われる場合がある |
サブリースは空室時も賃料が入る点が魅力ですが、賃料の改定条件や解約条件を、契約前に必ず確認してください。
【メリット③】団信による保障機能
多くの投資用ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入を求められます。団信に加入していれば、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害になった場合、ローン残高が保険で弁済されます。万一のときに、家族へ返済の負担を残しにくくなる点がメリットです。
ただし、加入には健康状態の告知が必要で、保障内容や条件は金融機関によって異なります。
【収入面のリスク】空室・家賃下落・滞納への対策
1戸のみの区分マンションや戸建ては、空室になると家賃収入がなくなり、返済と維持費を自己資金から払うことになります。そのため、購入前の調査が欠かせません。
空室は、購入前に賃貸需要を調べることで避けやすくなります。不動産会社が示す家賃だけでなく、複数の管理会社や仲介会社に「その賃料で募集できるか」を確認しましょう。
家賃下落に備えるには、築年数が近い周辺物件の賃料推移を確認し、将来の家賃を低めに置いても収支が成り立つかを試算します。
滞納は、入居審査を適切に行い、必要に応じて家賃保証会社の利用を検討することで抑えられます。管理会社の督促対応も、契約前に確認しておくと安心です。
【支出面のリスク】修繕・金利上昇への対策
建物や設備は年数とともに劣化するため、修繕費は避けられない支出です。また、変動金利でローンを組む場合は、金利の動きによって毎月の返済額も変わります。どちらも、購入前に「起きたらどうなるか」を数字で確認しておくことが大切です。
修繕では、設備の交換、退去時の原状回復、外壁・屋根・防水・給排水管の工事などが必要になります。特に中古物件は、購入前に修繕履歴と今後の修繕計画を確認し、修繕用の資金をあらかじめ確保しておきましょう。
金利上昇は、変動金利で返済額が増える可能性があるリスクです。金利が上がった場合の月々の収支を試算し、無理のない借入額にとどめることが対策になります。借入額が大きいほど影響も大きくなるため、レバレッジを効かせすぎないことも重要です。
【資産価値面のリスク】災害・売却しにくさと出口戦略
不動産は、災害による被害や、売りたいときに売れない事態によって、資産価値が大きく下がる可能性があります。購入前に地域のリスクを調べ、売却まで見据えて物件を選ぶ必要があります。
災害への備えとして、ハザードマップで浸水・土砂災害・高潮のリスクを確認し、地域や建物に合った保険を検討しましょう。保険に入っていても、すべての損害が補償されるとは限りません。補償範囲と免責条件も確認してください。
売却しにくさは、不動産がすぐ売れるとは限らないことから生じます。希望価格で買い手が見つからず、値下げが必要になる場合もあります。
出口戦略は、購入時点で考えておきたい対策です。将来の買い手にとって魅力のある立地か、融資を利用しやすい規模か、売りやすい価格帯かを確認し、売却価格が想定を下回っても大きな損失を避けられるかを検討します。特に、売却価格がローン残高を下回ると、差額を自己資金で補う必要があります。購入前に、返済が進んだ後のローン残高を確認しておきましょう。
初心者が不動産投資を始めるための5ステップ

不動産投資は、いきなり物件を探し始めるよりも、目的と予算を固めてから進める方が判断を誤りにくくなります。
この章では、目的と予算の整理から、融資の相談、物件の調査、契約、購入後の運用と申告まで、初心者が踏む5つのステップを順番に解説します。
ステップ1:投資目的と予算を決める
毎月のキャッシュフローを増やしたいのか、老後の資産形成か、売却による資金化かで、選ぶ物件も借入の考え方も変わります。目標の月額収入、保有期間、許容できる損失を整理したうえで、予算を決めましょう。
予算は、購入に使う自己資金と、手元に残す生活防衛資金を分けて考えます。金融機関は年収や勤続年数、既存の借入などをもとに融資を判断しますが、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は別物です。
ステップ2:不動産会社・金融機関に相談して融資条件を確認する
不動産会社には、物件紹介だけでなく、賃貸需要の根拠や家賃設定、将来の売却見通しも確認しましょう。不動産会社や管理会社は複数社を比較し、可能であれば金融機関の融資条件も比べておくと安心です。同じ物件でも、管理会社によって募集力や管理料が異なります。
「節税になります」「将来値上がりします」といった説明だけで購入を勧められた場合は、慎重に判断しましょう。節税で税負担が軽くなっても、家賃収入から返済や経費を引いた収支が赤字なら、その赤字は解消されません。
ステップ3:物件を比較し、収支・立地・賃貸需要を調査する
気になるエリアを絞り、同じ条件の物件を継続して比較すると、価格や家賃、利回り、築年数、駅距離の相場観が身に付きます。高利回りに見える物件は、なぜ高いのかを必ず確認しましょう。
購入候補が決まったら、家賃を下げた場合や空室が出た場合など、複数のパターンで収支を試算します。現地では、駅からの実際の距離、周辺環境、騒音、建物の管理状態、共用部の様子を見ておきます。管理費・修繕積立金、修繕履歴、周辺の競合物件も見比べましょう。
ステップ4:買付申込から契約、決済まで進める
一般的には、買付申込、融資の事前審査、重要事項説明・売買契約、融資の本審査・ローン契約、決済・引き渡しの順に進みます。ただし、融資審査の時期は金融機関や取引条件によって異なります。買付申込を出しても売買契約が成立するとは限らないため、価格や契約条件、融資特約の有無を確認しましょう。
重要事項説明で不明点が残る場合は、契約前に質問し、必要に応じて専門家へ相談してください。
ステップ5:引き渡し後に管理会社と連携して運用を始める
引き渡し後は、管理会社に委託する場合でも、毎月の収支報告、入居状況、滞納状況、修繕提案などを確認します。空室が出たときは、募集賃料や募集条件、必要な設備について管理会社と相談しましょう。管理会社に任せきりにせず、運用状況を定期的に把握し、必要に応じて改善することが大切です。
また、家賃収入は原則として給与とは別の「不動産所得」として計算されます。所得の状況によっては、購入の翌年から確定申告が必要になる場合があります。帳簿や領収書などを日頃から整理し、不明点は税理士や税務署に確認しましょう。
不動産投資の初心者によくある質問
ここまで読んで、「自分でも始められるのか」「資金はどれくらい必要か」「失敗したらどうなるのか」と気になった方もいるでしょう。よく寄せられる3つの質問に、お答えします。
■会社員でも不動産投資は始められる?
始められます。給与収入があることで、融資審査で返済能力を評価される場合があります。ただし、会社員なら誰でも融資を受けられるわけではなく、年収、勤続年数、勤務先、既存の借入、物件の収益性によって条件は変わります。
■不動産投資には自己資金がいくら必要?
物件価格や融資条件によって異なりますが、購入時の諸費用と、空室・修繕に備える資金は必要です。頭金なし(フルローン)で買える場合もありますが、借入が増えるほど空室や金利上昇の影響を受けやすくなります。生活防衛資金を確保したうえで、投資に回せる金額を決めましょう。
■不動産投資で失敗して借金だけが残ることはある?
あります。必ず儲かる投資ではなく、空室が続いて返済が滞ったり、売却価格がローン残高を下回ったりすると、差額を自己資金で補う必要が生じます。無理のない借入額にとどめ、空室や金利上昇を想定した資金計画を立てましょう。
まとめ
不動産投資は、家賃収入と売却益を狙える一方、費用やリスクを織り込んだ収支の確認が欠かせない投資です。まずは目的と予算を整理し、物件を比較しながら、空室や金利上昇を想定した厳しめの条件で試算してから判断しましょう。購入を急かされても、自分の数字で納得できるまで進めないことが、失敗を避ける近道です。
株式会社ウィルレイズにご相談ください
「現物不動産投資に興味はあるけれど、自分が買えるのか分からない」という方は、購入を決める前の段階でも、ぜひご相談ください。
株式会社ウィルレイズは、2002年の創業以来、不動産を通じてお客様の長期的な資産形成をサポートしています。当社のお客様のうち、約80%が2戸目以降の物件を購入されています(2022〜2025年実績・自社集計)。
不動産投資が初めての方も、物件選びから収支計画まで丁寧にサポートいたします。まずは無料相談や資料請求から、お気軽にご相談ください。
【参考資料】
国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
国税庁「No.2020 確定申告」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm