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不動産投資コラム

不動産投資の経費とは?経費にできるもの・ならないもの一覧と判断基準

不動産投資の経費とは、家賃収入を得るために必要な支出のことです。家賃収入から経費を差し引いた金額が「不動産所得」となり、経費が増えるほど所得は小さくなります。そのため、何が経費になるかを正しく知ることが重要です。

ただし、購入時の費用やローン、家事按分など、判断に迷う場面が少なくありません。

この記事では、個人で不動産投資を行う場合の経費について、経費にできるもの・できないもの・迷いやすいものを整理します。

この記事でわかること

  • 不動産投資で経費にできるもの・できないものの一覧と、その判断基準
  • 購入時の費用の扱いと、減価償却・家事按分の考え方
  • 経費として認められるために必要な、領収書の保存と帳簿の記録方法

不動産投資の経費とは?経費にできる条件と基本ルール

経費にできるかどうかは、賃貸経営との関連性があるかで決まります。所得税法では、総収入金額を得るために直接要した費用などを必要経費としています。必要経費の金額に上限はありませんが、高額だから、あるいは支払ったからといって、経費になるわけではありません。

迷ったときは、次の3点で確認しましょう。

  • その支出がなければ、賃貸経営や家賃収入の獲得に支障が出るか(必要性)
  • 私用と共用していないか。共用なら業務使用分だけか(按分)
  • 客観的な資料で説明できるか(証拠)

不動産投資で経費にできるもの一覧|主な勘定科目と対象費用

物件を保有して賃貸している間(運用中)に発生する代表的な経費を、勘定科目ごとにまとめました。自分の支出がどの科目に当たるかを確認し、計上漏れがないかチェックする際にお使いください。

勘定科目主な対象費用注意点
管理費管理会社への委託料、管理組合へ支払う管理費・修繕積立金賃貸用部分が対象
修繕費原状回復、設備の修理、ハウスクリーニング工事の内容で扱いが変わる
租税公課固定資産税、都市計画税、不動産取得税私用部分は区分する
損害保険料火災保険、地震保険、施設賠償責任保険複数年分は当年分のみ
支払利息不動産投資ローンの利息部分元本は含まない
広告宣伝費入居者募集の広告料、募集時の仲介手数料、キャンペーン費用購入時の仲介手数料は別扱い
支払手数料税理士報酬、弁護士費用、更新事務手数料賃貸経営に関するものに限る
水道光熱費共用部の電気代・水道代、空室の光熱費入居者負担分は含めない
消耗品費電球、清掃用具、10万円未満の備品など高額なものは減価償却
通信費・旅費交通費管理会社との連絡、物件訪問の交通費私用と共用なら家事按分
減価償却費建物・設備の取得費用を年ごとに配分土地は対象外

なお、物件購入時の費用は、取得価額に含めるものがあるため、後述の「物件購入時の費用は経費になる?」で解説します。

管理費・修繕費・清掃費

管理会社へ支払う賃貸管理の委託料は、賃料回収、入居者対応、契約更新、募集業務などの対価として、必要経費に計上できます。区分マンションの管理費も、賃貸用物件に対応する部分は経費です。

修繕積立金は、一定の要件を満たすマンションの管理組合への支払いであれば、支払った年分の必要経費にできます。管理規約に基づく適正な積立てであること、返還を受けないこと、将来の修繕に充てられることなどを確認しましょう。

退去後の原状回復、壁紙や床の補修、故障した設備の修理、ハウスクリーニングなどは、修繕費に該当しやすい支出です。ただし、資産の価値を高める工事は扱いが異なります。見分け方は、後述の「修繕費と資本的支出の違い」で解説します。

固定資産税などの租税公課・損害保険料

固定資産税、都市計画税は、賃貸用部分に対応する金額を租税公課として必要経費に計上できます。自宅兼賃貸住宅のように私用部分がある場合は、床面積の比率など、客観的な基準で賃貸用部分を区分します。

火災保険、地震保険、施設賠償責任保険などの損害保険料も、賃貸経営に必要な保険であれば経費にできます。複数年分を一括で支払った場合は、原則として当年分のみを経費とし、翌年以降分は前払費用として処理します(一定の要件を満たす短期の前払費用には特例があります)。

ローン利息・広告宣伝費・専門家報酬

不動産投資ローンの返済額のうち、利息部分は必要経費になります。返済予定表などで、元金と利息を分けて集計しましょう。なお、不動産所得が赤字になる場合は、土地の取得に充てた借入金の利息に注意点があります。赤字が見込まれる場合は、税理士に確認してください。

入居者募集のための仲介手数料や広告料、税理士への確定申告報酬、入居者トラブルに関する弁護士費用なども、賃貸経営に関する支出であれば必要経費です。

物件購入時の費用は経費になる?取得費と減価償却の違い

物件購入時には多くの諸費用が発生します。その年に全額を経費にできるものと、取得価額に含めて減価償却で少しずつ経費化するものに分かれます。この章では、両者の違いと減価償却の基本をまとめます。

取得税・登録免許税・印紙税・仲介手数料の扱い

賃貸用不動産の取得に伴って支払う不動産取得税、登録免許税、印紙税は、個人の不動産所得の計算では、支払った年の必要経費にできます。登記のための司法書士報酬も、同様に必要経費として処理できます。

一方、購入時の仲介手数料は、その年に全額を経費にすることはできません。土地と建物それぞれの取得価額に含め、建物に配分された分は減価償却を通じて経費化します。土地に配分された分は、保有中は経費化できません。

建物・設備は減価償却で複数年に分けて経費にする

建物や設備は、取得時に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数に応じて減価償却します。賃貸用住宅の主な法定耐用年数は、木造が22年、鉄骨造が19〜34年(骨格材の肉厚で異なる)、鉄筋コンクリート造(区分マンションなど)が47年です。

計算の例を挙げます。建物部分の取得価額が2,000万円の新築区分マンションの場合、耐用年数47年の定額法の償却率は0.022なので、年間の減価償却費は次のとおりです。

  • 2,000万円 × 0.022 = 44万円

つまり、この建物は毎年おおむね44万円ずつ経費にできます。

土地は減価償却できないため、売買代金は建物と土地(敷地権)に合理的に区分します。中古物件は、築年数に応じて耐用年数が短くなる別の計算を行います。

不動産投資で経費にならないもの一覧|確定申告で認められない支出

賃貸経営と無関係な支出や、税法上経費にできないと定められている支出を誤って計上すると、税務調査で指摘されるおそれがあります。この章では、経費にならない代表的な支出を整理します。

ローン元本の返済額は経費にならない

ローン返済額のうち、元本部分は必要経費になりません。元本返済は借入金という負債を減らす支出であり、家賃収入を得るための費用とは区別されます。月々の返済額をそのまま支払利息として計上しないよう、返済予定表で内訳を確認しましょう。

所得税・住民税・延滞税・罰金などは経費にならない

所得税、復興特別所得税、住民税は、所得に対して課される税金であり、必要経費になりません。国税の延滞税・加算税、地方税の延滞金・加算金も同様です。

交通違反の反則金、罰金、科料、過料なども経費になりません。駐車違反や速度違反に伴う支払いは、物件確認のための移動中であっても経費にできません。

スーツ代・美容費・資格取得費などは原則経費にならない

スーツ、腕時計、美容院代、化粧品、ジムの会費などは、日常生活でも使える私的な支出と考えられ、必要経費になりません。不動産会社や金融機関との面談で着用しても、それだけでは賃貸経営に直接必要な費用とは認められにくいでしょう。

資格の取得費用や、一般的な自己啓発セミナーの参加費も、個人の知識・技能を高める支出と考えられ、原則として経費になりません。賃貸経営に直接必要と客観的に説明できない支出は、私的支出と判断される可能性があります。

経費にできるか迷う費用の判断基準|按分・修繕費・専従者給与

判断が分かれやすいのは、「修繕費か資本的支出か」「私用と業務の按分」「交際費の線引き」「家族への給与」などです。この章では、それぞれの判断基準を解説します。

修繕費と資本的支出の違い

修繕費は、建物や設備を通常の状態に維持・回復するための費用であり、支出した年の必要経費にできます。原状回復、同程度の設備への交換、破損箇所の補修などが代表例です。

資本的支出は、資産の価値を高める、または使用可能期間を延長する支出です。グレードアップを伴うリノベーションや、性能を大幅に向上させる設備の導入などは、資産計上して減価償却により複数年にわたって経費化します。

判断が難しい場合は、次の形式基準で修繕費として扱えることがあります。

  • 1回の修理・改良の金額が20万円未満の場合
  • おおむね3年以内の周期で行われる修理・改良の場合
  • 資本的支出か修繕費か明らかでない場合で、支出額が60万円未満、または前年末の取得価額のおおむね10%以下の場合

ただし、これらの基準を満たせば必ず修繕費になるわけではありません。工事内容や見積書の内訳によって区分が変わることがあるため、高額な工事では契約前に税理士へ相談すると安心です。

車両費・通信費・自宅家賃は家事按分で計上

物件の現地確認や管理会社との打ち合わせに自家用車を使った場合、業務使用分のガソリン代や駐車場代などは経費になる可能性があります。スマホ料金、インターネット料金、自宅の家賃、電気代も、賃貸経営と私生活の双方で使う費用です。私用と共用する費用は全額を経費にできないため、走行距離や使用日数、床面積比など、合理的な基準で業務使用分だけを按分して計上します。

自宅の一室を事務スペースとして継続利用している場合の計算例は、次のとおりです。自宅60㎡のうち15㎡を事務スペースとして使い、月の家賃が12万円なら、

  • 15㎡ ÷ 60㎡ = 25%
  • 12万円 × 25% = 月3万円(年36万円)

按分割合は、毎年恣意的に変えず、算定の根拠を保存しておきましょう。

交際費・調査費・セミナー費用は経費になる?

不動産会社、管理会社、税理士、工事業者などとの打ち合わせに要した飲食費や手土産は、賃貸経営との関係を明確に説明できれば、経費になる可能性があります。家族や友人との食事など、私的な飲食は経費になりません。

購入前の現地調査や面談のための交通費、不動産投資に直接関係する書籍代やセミナー参加費も、具体的な関連性を説明できれば経費にできることがあります。ただし、物件を取得した場合は取得価額に含める費用もあり、処理は個別に異なるため、税理士に確認しましょう。

家族への給与は専従者給与なら経費にできる

生計を一にする配偶者や親族へ支払う給与は、原則として必要経費になりません。ただし、承認を受けた青色申告者が、青色事業専従者へ支払う給与は、要件を満たせば必要経費にできます。

主な要件は、届出書を提出していること、専ら事業に従事していること、業務内容に見合う適正額であることです。不動産貸付けの場合は、原則として事業的規模(目安は10室以上のアパート・マンション、または5棟以上の戸建て)であることも求められます。

不動産投資の経費計上に必要な証拠と記録|領収書の保存と帳簿の付け方

経費を計上するには、支払いの事実と内容を確認できる資料が必要です。領収書、請求書、契約書、銀行振込明細、クレジットカード明細などを整理しておきましょう。

保存期間は、書類の種類や申告方法(青色申告か白色申告か)によって異なります。詳しくは国税庁の案内で確認し、迷う場合は余裕をもって長めに保管すると安心です。電子で受け取った請求書や領収書は、電子帳簿保存法に沿った保存が必要になる場合があります。

領収書だけでは用途が分からない支出は、帳簿の摘要欄などに内容を記録しておきましょう。

特に家事按分を行う費用は、次の点を残してください。

  • 支出日、支払先、金額
  • 支出の目的と関係する物件名
  • 打ち合わせ相手や参加者
  • 家事按分の計算根拠

日々の記録を習慣化すれば、確定申告の時期に支出内容を思い出せなくなる事態を防げます。

まとめ|不動産投資の経費は「必要性・按分・証拠」の3点で判断する

不動産投資の経費は、賃貸経営に必要な支出であることが大前提です。迷ったときは、次の3点で確認しましょう。

  • 必要性:その支出は家賃収入を得るために必要か。購入時の費用は、全額を経費にできるものか、取得価額に含めて減価償却するものかを区別する
  • 按分:私用と共用している費用は、合理的で継続的な基準で業務使用分だけを計上する
  • 証拠:領収書・請求書・契約書を保存し、支出の目的や按分根拠を帳簿に記録する

ローン元本や税金、私的な支出は経費にできません。高額な工事や家族への給与など判断が難しい場合は、青色申告や会計ソフトを活用しつつ、不動産税務に詳しい税理士へ相談してください。


株式会社ウィルレイズにご相談ください

株式会社ウィルレイズは、東京都心エリアを中心に投資用マンションの販売・仲介・賃貸管理を行っている総合不動産コンサルティング企業です。

2002年の創業以来、不動産を通じてお客様の長期的な資産形成をサポートしています。当社のお客様のうち、約80%が2戸目以降の物件を購入されています(2022〜2025年実績・自社集計)。

不動産投資が初めての方も、物件選びから収支計画まで丁寧にサポートいたします。まずは無料相談や資料請求から、お気軽にご相談ください。

【参考資料】
国税庁「やさしい必要経費の知識」
https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/keihinochishiki/keihinochishiki.html
国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm
国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
国税庁「減価償却資産の償却率等表」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
国税庁「青色申告制度」
https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru_sp/aoiroshinkoku/aoiroshinkokuseido/scid1769.html

監修者
FPヤマネー(yamony)

資格:2級FP技能士・日商簿記2級・宅地建物取引

建築学科を卒業後、建設会社での実務を経て不動産業界に転身。
「お金のことは難しい」「誰に相談すればいいかわからない」といった不安や疑問に応えていきたいという思いから、FPとしての活動を開始。これまで培った知見と経験を活かし、「できるだけわかりやすく」「今日から実践できる」お金の情報提供を心がけています。

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