家賃収入とは?仕組み・内訳・経費・増やし方を徹底解説

「不労収入で自由に暮らしたい」と不動産投資を始める人は多いですが、家賃収入の仕組みを知らないと「思ったより儲からない」と後悔します。
多くの初心者が陥る最大の誤解は、「家賃収入=手元に残るお金」と考えてしまうこと。実際には、管理費、修繕費、税金、ローン返済など、さまざまな経費が差し引かれます。
この記事では、家賃収入の正しい仕組み、差し引かれる経費の内訳、そして収入を増やす具体的な方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 家賃収入の本当の仕組み
- 家賃収入から差し引かれる経費と、実際に残るお金の考え方
- 初心者でも実践できる、家賃収入を増やす具体策
家賃収入とは
家賃収入とは、所有する不動産を他人に貸すことで得られる収入のことです。税務上は「不動産所得」として扱われます。
「家賃収入」と聞くと、毎月決まった金額の家賃だけを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし実際には、家賃収入はいくつかの項目で構成されています。
1.家賃
家賃は、入居者が毎月支払う基本的な対価であり、家賃収入の中心となる項目です。金額は、立地や築年数、間取り、設備内容によって決まり、同じエリア内でも条件次第で差が生じます。
適正な家賃を設定するためには、周辺相場を把握することが重要です。相場とかけ離れた家賃設定は、空室期間の長期化につながる可能性があります。
2.共益費
共益費は、エントランスや廊下などの共用部分の維持・管理に充てられる費用です。清掃費やエレベーター点検費、共用部の電気代などが含まれ、家賃とは別に徴収されるのが一般的です。
共益費を設定する際は、周辺の同条件の物件を参考にすることが重要です。相場より高く設定すると、入居者に割高な印象を与える可能性があります。
3.更新料
更新料は、賃貸借契約を更新する際に入居者から受け取る一時金です。契約期間満了後も継続して入居する場合に発生し、地域や物件によっては設定しないケースもあります。
更新料の有無や金額は、地域の慣習や周辺物件の状況を踏まえて設定しましょう。
4.礼金
礼金は、契約時に入居者から受け取る返還不要の一時金です。従来は貸主への謝礼として支払われてきましたが、近年では礼金なしの物件も増えています。
そのため、礼金の有無は入居者の判断に影響する募集条件の一つとなっています。礼金を設定する際は、周辺物件の募集条件や賃貸需要を参考にしましょう。
5.敷金(※収入としてカウントしない点に注意)
敷金は、家賃滞納や退去時の原状回復費用に備えて、入居者が契約時に貸主へ預けるお金です。礼金と混同されることがありますが、性質は大きく異なります。
敷金は退去時に返還することを前提としているため、家賃収入には含まれません。未払い家賃や原状回復費用が発生した場合は、その費用を差し引いたうえで残額を返還します。
そのため、敷金を収入として考えないことが重要です。
6.その他
家賃収入には、上記以外にも以下のような付帯的な収入が含まれる場合があります。
- 駐車場代(入居者が車を停めるスペースの利用料)
- 駐輪場代(自転車やバイクを停めるスペースの利用料)
- トランクルーム使用料(収納スペースの利用料)
これらは一つひとつの金額は小さいことが多いものの、空室の影響を受けにくく、毎月安定して入ってくる収入です。長期的に見ると、物件全体の収益性を下支えする役割を果たします。

ここまで、家賃収入の仕組みと内訳について解説してきました。
しかし、実際に手元に残る利益を正確に把握するには、収入だけでなく「支出」についても理解しておく必要があります。家賃収入からどのような経費が差し引かれるのかを知らないと、「黒字のつもりが、手元にお金が残らない」という事態に陥ってしまいます。
次の章では、家賃収入から差し引かれる経費について、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
家賃収入から引かれる経費一覧
家賃収入は、そのまま全額が手元に残るわけではありません。物件の維持・運営には、さまざまな経費が発生します。
不動産所得(課税対象)は、次の式で計算されます。
■ 家賃収入 − 必要経費 = 不動産所得
ここでは、家賃収入から差し引かれる主な経費について、一つずつ解説します。
1.修繕費・修繕積立金
原状回復や設備の修理にかかる費用は、修繕費として経費計上できます。
具体的には、給湯器やエアコンの交換、水回りの修理、退去後の原状回復などが該当します。マンションでは、将来の大規模修繕に備えて修繕積立金を支払うのが一般的です。
修繕費は突発的に発生することがあるため、あらかじめ余裕を持った資金計画を立てておくことが重要です。適切な修繕を行うことで、物件の維持や入居継続につながります。
2.業務委託
業務委託費は、物件管理を管理会社などに依頼した際に発生する費用です。
家賃の集金や入退去手続き、入居者対応、共用部の管理などが含まれます。管理会社に業務を委託することで、オーナー自身の負担を軽減できます。
管理手数料は、一般的に家賃の3~5%程度が目安とされています。委託する際は、サービス内容と費用が見合っているかを定期的に確認することが重要です
3.税金(租税公課)
不動産投資では、物件を購入したときや保有している期間に、さまざまな税金が発生します。
購入時には、印紙税、登録免許税、不動産取得税などがかかります。また、保有中には固定資産税や都市計画税が毎年発生します。一定規模以上の不動産経営では、事業税の課税対象になる場合もあります。
なお、所得税や住民税は個人に課される税金であるため、不動産投資の経費として計上することはできません。
税金は継続的に発生する支出であるため、年間ベースで把握しておくことが重要です。
4.保険料
保険料は、火災や自然災害などのリスクに備えるための費用です。不動産投資では、事故や災害による損失を軽減する役割があります。
賃貸物件では、一般的に火災保険に加入し、必要に応じて地震保険を付帯します。地震保険は単体では加入できず、火災保険とセットで契約する点が特徴です。
災害時の修繕費や建物の損害に備えるためにも、補償内容と保険料のバランスを考慮しながら、適切な保険を選ぶことが重要です。
5.減価償却費
減価償却費とは、建物の取得費用を耐用年数に応じて分割し、毎年経費として計上する仕組みです。
例えば、建物価格が2,000万円の鉄筋コンクリート造マンションを購入した場合、法定耐用年数は47年のため、年間約44万円を減価償却費として計上できます。減価償却費は、実際に現金が支出されるわけではありませんが、税務上は経費として扱われるため、課税所得を抑える効果があります。
そのため、減価償却費は、実際の現金の流れを示すキャッシュフローとは分けて考えることが重要です。
6.ローン金利
ローン金利は、物件購入時に借り入れた資金に対して支払う利息のことです。毎月の返済額のうち、経費として計上できるのは利息部分のみで、元本返済分は経費にはなりません。
例えば、毎月の返済額が10万円で、元本返済が7万円、利息が3万円の場合、経費として計上できるのは利息の3万円です。また、金利水準や借入期間によって利息総額は大きく変わるため、購入前に返済シミュレーションを確認しておくことが重要です。
なお、不動産所得が赤字になった場合には、土地取得に係る借入金の利息について、損益通算に制限が設けられるケースがあります。詳細については、税理士に確認するとよいでしょう。
7.その他諸経費
その他諸経費には、物件運営に付随する細かな支出が含まれます。
通信費や交通費、広告費などが代表例です。金額は小さくても継続的に発生するため、収支に与える影響は小さくありません。一方で、不動産投資と直接関係のない私的な支出(スマートフォン代や洋服代など)は、原則として経費として計上できません。
細かな支出も継続的に管理することで、より正確な収支を把握できます。

家賃収入は手残り現金(キャッシュフロー)とは異なる
初心者が陥りやすい誤解の一つが、「家賃収入=手元に残るお金」と考えてしまうことです。
しかし、家賃収入がそのまま利益になるわけではありません。実際には、修繕費や管理費、税金、保険料などの経費が発生し、ローンを利用している場合は返済も必要になります。
そのため、同じ家賃収入でも、物件の条件や借入状況によって実際の手残り額は大きく異なります。
不動産投資で重要なのは、家賃収入の金額ではなく、経費や返済を差し引いた後にどれだけの現金が残るのかを確認することです。
収入の大きさだけではなく、キャッシュフローの視点で収支を把握することが、不動産投資を成功させるポイントといえるでしょう。
家賃収入の増やし方
家賃収入を増やすには、家賃を上げるだけでなく、空室を減らし、経費を見直し、物件数を増やすなど、複数のアプローチがあります。
投資初期は、帳簿上の利益よりも毎月のキャッシュフローを重視しましょう。安定したキャッシュフローがあれば、次の施策を安心して実行できます。
ここでは、初心者でも今すぐ実践できる方法から、中長期的な戦略まで、段階を追って解説します。
1.空室対策を行い入居率を高く保つ
家賃収入は、入居者がいる期間にのみ発生します。
例えば、家賃10万円の物件で1か月の空室が発生すると、その年の収入は10万円減少します。空室期間を短くし、入居者に長く住んでもらうことが、安定した家賃収入を維持するための重要なポイントです。
具体的な対策としては、礼金ゼロやフリーレント、ペット可などの募集条件の見直しが挙げられます。また、室内のクリーニングや小規模なリフォームを実施することで、物件の魅力を高めることも可能です。さらに、複数の不動産会社に募集を依頼したり、入居者からの問い合わせや要望に迅速に対応したりすることも、空室期間の短縮につながります。
ただし、空室対策として安易に家賃を引き下げることは避けたほうがよいでしょう。まずは募集条件や室内の状態を見直し、物件の魅力を高めることが大切です。
2.家賃をあげる
家賃設定を見直すことで、収入を増やせる場合があります。
周辺相場より家賃が安い物件や、長期間家賃を据え置いている物件は、家賃改定を検討しやすい状況にあります。
例えば、エアコンを交換(費用10万円)して家賃を月3,000円引き上げられれば、年間の増収額は36,000円となり、約3年で投資額を回収できます。
また、インターネットを無料化(費用3,000円/月)して家賃を月5,000円引き上げられた場合、年間の家賃収入は60,000円増加し、費用を差し引いても年間約24,000円の増収が期待できます。
このように、設備の改善は収益性の向上につながる可能性があります。ただし、周辺相場を無視した家賃の引き上げは、空室リスクを高める原因になります。家賃を見直す際は、周辺物件の募集状況や家賃相場を十分に調査することが大切です。
3.返済比率を見直し、キャッシュフローを改善する
手元のキャッシュフローを積極的に改善したい場合は、以下のような方法があります。
- 繰上返済:まとまった自己資金ができた際に元金の一部を前倒しで返済することで、以後の毎月の返済額または返済期間を減らせます。
- 借り換え:金利の低いローンへの借り換えが可能であれば、毎月の返済負担そのものを引き下げられる場合があります。
- 変動金利の動向に注意する:変動金利で借り入れている場合、市場金利が下がれば返済負担が軽くなることがありますが、逆に上がれば負担が増えるリスクもあります。
削減できた返済負担分は、自己資金として積み立てておくことで、将来の修繕費や次の物件購入の頭金に活用できます。
4.所有物件を増やす
運営に慣れてきた段階では、物件数を増やすことで家賃収入の総額を拡大できます。
例えば、月5万円のキャッシュフローが出る物件を2戸保有すれば、合計で月10万円の収入になります。1戸で空室や修繕が発生しても、他の物件の収入でカバーしやすくなるため、リスクの分散にもつながります。
ただし、管理体制が十分に整っていない段階で物件数を増やすと、管理の手間や資金負担が大きくなる可能性があります。まずは1戸目の運営を安定させたうえで、段階的に物件数を増やしていくことが大切です。

まとめ
家賃収入は、家賃や共益費、更新料、礼金などで構成されます。一方で、修繕費や管理費、税金、保険料、ローン返済などの支出も発生するため、受け取った金額がそのまま利益になるわけではありません。
初心者が陥りやすい失敗の一つが、「家賃収入=利益」と考えてしまうことです。重要なのは、経費を差し引いた後に手元に残る「キャッシュフロー」の視点です。
不動産投資を成功させるには、この視点を持って収支を管理することが欠かせません。
【参考資料】
■国税庁「減価償却資産の償却率表」
https://www.nta.go.jp/law/johozeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf